5.3 SUN 16:20-17:00 VIVA! STAGE
cero

新曲のオンパレード!
革新的ポップスが降り注ぐ

高城晶平の「お昼のランチタイムミュージックを始めたいと思います、よろしく!」という何ともとぼけた言葉と共に始まったのは、ファンキーな“21世紀の日照りの都に雨が降る”。ライトハンドからビートたけしのモノマネまでが入り乱れる賑々しいスタートに続くは、今月発売のニューアルバム『Obscure Ride』から“Elephant Ghost”。アフロファンク的な曲調で反復ビートにはかなりの中毒性があり、高城はまさにソウルシンガーのごとくシャウトする。続いても新作から“Summer Soul”で、こちらはヒップホップ寄りのテイスト。先行シングルからも予想できたことではあるが、新作の方向性はやはりかなり黒そうだ。

小気味いいカッティングとエフェクティヴなベース、ホーンセクションによる華やかなソウルファンクの“さん!”、艶やかなエレピとメロウな曲調が心地いい「これぞグッドミュージック!」な“Orphans”と続き、「今日初めてやる新曲です」と言って、同じく新作から“DRIFTIN’”を披露。こちらもワウギター、フルート、ホーンが絡み合うムーディーな一曲だ。ラストはすっかり新たなアンセムと化した感のある“Yellow Magus”。ロバート・グラスパー以降のビート感を用いつつ、強烈にグルーヴィーで、サイケデリックでもある。文句なしに上がる一曲で、この日のステージを見事に締め括った。いやあ、ホントあっという間。

シティポップでもネオ渋谷系でも、その呼び方は何でもいいが、とにかく今の日本インディシーンにおけるポップスの流行の礎を築いたのがceroであるということには、多くの人が首を縦に振ってくれることだろう。そして、ブラックミュージック寄りのポップスがよりオーヴァーグラウンドに向かう中にあって、ceroはあくまで音楽的な冒険を止めることなく、日本の音楽家として新たな地平を切り開きつつある。来るべき新作がどんな内容になるのか、そしてその作品が今の日本の音楽シーンでどのように受け止められるのか。非常に楽しみだ。

(金子厚武)

セットリスト

1. 21世紀の日照りの都に雨が降る
2. Elephant Ghost
3. Summer Soul
4. さん!
5. Orphans
6. DRIFTIN’
7. Yellow Magus