5.29 SUN 19:10-20:00 VIVA! STAGE
銀杏BOYZ

すべての罪深さを抱きしめる
峯田和伸の歌声

息を呑むような、生々しく、濃密な時間だった。

VIVA! STAGEのヘッドライナーに登場したのは、銀杏BOYZ。昨年は峯田和伸の弾き語りとしての出演だったが、今年はバンド編成での登場だ。

「あなたが今までやってきたどんなひどいことも、俺が今までやってきたどんなひどいことも、この曲で全部肯定するんで、聴いてください」

アコースティック・ギターを抱えて、ふらりとステージに現れた峯田和伸はそう語り、“生きたい”を歌う。10分以上の大曲だ。<そうやって生まれた罪を こうやって抱きしめるんです>。声を枯らし、がなるように叫ぶ。途中からサポートメンバーの藤原寛(B/AL)、後藤大樹(Dr/AL)、山本幹宗(G)の3人が舞台に合流する。迫真の爆音を鳴らす。

続けては、新曲“大人全滅”。GOING STEADY時代の”DON'T TRUST OVER THIRTY”をまったく別物に生まれ変わらせ、極限のノイズで塗りつぶしたナンバーだ。一つひとつの曲について、そして今それを歌うことについて。峯田は集まった人たちに向けてたくさんの思いを語りながら演奏していく。そしてオーディエンスもそれに真っ直ぐに応える。“BABY BABY”では客席に大合唱が巻き起こる。バンドが演奏を止め、峯田が歌を止めても、お客さんたちの大きな歌声が響きわたっていた。

本編最後は「誰かのことを思って作った曲があります。でも、心を込めて歌えば歌うほど、その人のことが遠くなっていくんです」と語り、“東京”を切々と歌い上げる。アンコールでは峯田一人がステージに戻り、安藤裕子に提供した“骨”を弾き語りで歌ってライヴを締めくくった。

「歌を歌うなんて、ものすごく罪深くておこがましい話です」。そんなふうに峯田は言っていた。でも、ステージに立つことは自分にとって大事なことだし、だからこういう場所があるのはありがたいし、自分は歌うしかないんだ、と。

彼が鳴らしたのは、目をそらすことのできない裂け目のようなものをまざまざと見せる音楽だった。ショーとかパフォーマンスとかエンタメじゃなく、醜くて罪深くて滑稽で愛おしい人間の生き様を、そのままさらけ出す歌だった。

これが銀杏BOYZだ。

(柴 那典)

セットリスト

1. 生きたい
2. 大人全滅
3. 夢で逢えたら
4. I DON’T WANNA DIE FOREVER
5. BABY BABY
6. 東京
EN.1 骨

撮影=古渓一道