5.29 SUN 17:50-18:30 VIVA! STAGE
indigo la End

これからも歌い続ける
アカペラに込めた川谷の覚悟

2年連続でのVIVA! STAGE登場となるindigo la End。昨年はドラムの佐藤栄太郎の正式加入後間もないタイミングだったが、それから一年が経過し、新作のリリースを直前に控える現在のバンドの充実した状況を反映した、素晴らしいステージを見せてくれた。

“瞳に映らない”から勢いよくライヴがスタートすると、佐藤と後鳥亮介の強固なリズム隊に支えられ、長田カーティスのギターが伸びやかに歌い出す。現在の4人で最初に発表したシングル“悲しくなる前に”は、Aメロのアップテンポなのに訛ったようなリズムと、抜けのいいサビメロの組み合わせがゾクゾクするかっこよさだ。爆発的なパフォーマンスを見せる若手バンドも多い中にあって、彼らの余裕すら感じさせるステージングというのは、確かな技術と楽曲に対する自信に裏打ちされたものだと言えよう。川谷絵音の声は昨日のゲスの極み乙女。の時と同様に決して本調子ではないが、それを補って余りあるバンドとしての完成度の高さを感じさせる。

長田と後鳥がステージ前方で客席を盛り上げた“名もなきハッピーエンド”から、女性コーラスによるインタールードを挟んでの“忘れて花束”を終えると、川谷が「今年もこのステージに出ることができて嬉しいです」と感謝を伝え、新作のオープニングを飾る“藍色好きさ”を披露。この曲もまずはAメロでのベースとドラムのスリリングなせめぎ合いに耳を奪われるが、川谷はアコギで、長田のプレイも音数が減り、これまで以上にリズム隊と歌が楽曲の軸になっていることが伺える。

“夜明けの街でサヨナラを”でもう一度大きな盛り上がりを生むと、川谷が「喉の調子が悪いから、『歌ってて楽しくないですか?』って言われることもあるんですけど、すごく楽しいです。これからも一本一本大事に歌っていこうと思います」と話し、ラストは“夏夜のマジック”。この時間と場所を慈しむかのごとくハンドマイクでステージを歩き回り、最後に<ラララ歌わせて>と繰り返すこの曲は、今の川谷にとって祈りのような歌なのかもしれない。

最後にひとりステージに残った川谷は“素晴らしい世界”の一節をアカペラで歌い、深々とお辞儀をしてステージを後にした。

(金子厚武)

セットリスト

1. 瞳に映らない
2. 悲しくなる前に
3. 名もなきハッピーエンド
4. 忘れて花束
5. 藍色好きさ
6. 夜明けの街でサヨナラを
7.夏夜のマジック

撮影=古渓一道