5.28 SAT 16:20-17:00 VIVA! STAGE
SHISHAMO

着実に進化を続ける鉄壁のトライアングル

Hi-STANDARDが「近所の兄ちゃん」的な存在ならば、SHISHAMOは「近所の姉ちゃん」といったところか。集客を危ぶむ声もあった中、見事なソールドアウトで大成功を収めた日本武道館公演を終えても、彼女たちの佇まいは以前と変わらない。3人のそんな姿にみんな惹かれていくのだ。

SEと共にふらっと自然体でステージに現れた彼女たちだが、演奏の直前、ほんの1、2秒の間に鋭い緊張感がステージを貫き、絶妙のタイミングで“中庭の少女たち”のイントロを奏で始めた。スイッチが切り替わった瞬間だ。サビ前まではミニマムな音数で音と音の隙間の静寂を聴かせ、サビでグッとテンションを高める展開が心地いい。

「VIVA LA ROCK、男!」「VIVA LA ROCK、女!」「VIVA LA ROCK、3年連続来てる人!」と軽く場内アンケートを取った後は、「熱帯夜」をプレイ。それまでのカラッとしたサウンドとは反対に、ここでは松岡のベースを中心にねっとりとした演奏を聴かせる。この曲はシングルリリース時に比べてエロさを増しているように感じる。今年頭にメンバー全員ハタチを越えたこともあり、徐々に表現に深みが加わっているのだろうか。

MCを挟んで、“僕に彼女ができたんだ”の鋭角なギターフレーズから後半戦へ突入。“生きるガール”~“タオル”~“君と夏フェス”とアッパーチューンの固め打ちだ。それにしても、今に始まったことではないが、3人の演奏技術は日に日に向上している。かつてはサウンドのシンプルさや技術の若さからローファイな魅力を感じることもあった。しかし、気付けば今やそんな姿はどこにもない。特に宮崎のギターは鋭さを増し、“僕に~”ではタイトなリズムキープとフレージングで楽曲のポテンションをさらに引き出していた。

“タオル”ではさっきのBLUE ENCOUNTに負けないぐらい大量のタオルがぶん回され、フェスの定番曲“君と夏フェス”を挟み、最後は“みんなのうた”。これまでのようにフェスを意識した勢いのあるエンディングもいい。だけど、敢えてミドルテンポの曲をどっしりと聴かせる選択をした3人。この決断に拍手を送りたい。一見何も変わっていないようでいて、SHISHAMOはゆっくりと着実に前進を続けているのだ。

(阿刀“DA”大志)

セットリスト

1. 中庭の少女たち
2. 僕、実は
3. 熱帯夜
4. 僕に彼女ができたんだ
5. 生きるガール
6. タオル
7. 君と夏フェス
8. みんなのうた

撮影=古渓一道