5.29 SUN 17:45-18:20 CAVE STAGE
ヤバイTシャツ屋さん

笑いも毒も特盛りで、
大抜擢のステージを遊び倒す!

ここ1年で一気にその知名度を広げてロックシーン急先鋒にまで昇り詰めた「ヤバT」。なんとCAVE STAGEがパンパンの大満員である。そんな異様な期待が膨らむステージにフラリと登場すると、なんと一番はじめに3人が行ったのは長いMC(笑)。小山が「僕ら、歌の中にたくさん大阪の地名が出てくるんで、まずその説明から始めますね」と言いながら、めちゃくちゃザックリな「大阪の路線図」が書かれた模造紙を広げる。彼らの地元・喜志駅から天王寺や難波へ遊びにいくルートを説明したり、大阪の名門大学の頭文字「関関同立」は東京で言う「MARCH」だと長々説明したり――はよライヴ始めろ!という心の声もいつの間にかどこへやら、フロアは大爆笑の渦である。

散々喋り倒した後、小山が発した「これ知ってたらヤバTは楽しめるんで。じゃあ、もう一回引っ込むのでSEお願いします」という言葉にCAVE全体がズッコケつつ、とにかく、これでようやく本当のライヴがスタート! 2ビートで爆走しながらコール&レスポンスを繰り返す“喜志駅周辺なんもない”。聴き覚えのあるキャンキャン声も「一旦しゃがませて跳ばせる」というパフォーマンスも盛り込んだ“メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲”。わざとらしいくらい切実な声で「ネコ飼いたい」とだけ歌い続ける疾走ナンバー“ネコ飼いたい”などなど、ポップなメロディに乗せて、ひたすらメッセージ性や意味を排除した歌と言葉が矢継ぎ早に飛んでくる。音楽的には古きよきメロコアマナーを踏襲したパンクチューンが多いのだが、何より、日常や音楽の「あるある」の欠片をバーッと羅列してはひたすら笑い飛ばしていく歌が痛快だ。

小山「VIVA LA ROCKに出られるなんて思っていませんでした。この場所に集まってくれてありがとうございます。全部、当たり前のことじゃないと思ってて……その一つひとつに感謝しながらライヴをやっていかなあかんと思って、新曲を作ってきました。聴いてください、“夢を諦めないで”」
柴田「そんな曲ないやん!」
……なんていう、よくありそうな定番MCをイジりつつ笑いを取る一幕もあったが、シニカルな視点や毒を笑いに変えていける強さとクレバーさは彼らの魅力であり武器だ。最後は“あつまれ!パーティーピーポー”で大合唱を巻き起こし、ステージを降りたヤバT。初出演にして、強烈過ぎるインパクトを残すライヴだった。

(矢島大地)

セットリスト

1. 喜志駅周辺なんもない
2. メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されてる感じの曲
3. ネコ飼いたい
4. Tank-top of the world
5. ウェイウェイ大学生
6. スプラッピ・スプラッパ
7. あつまれ!パーティーピーポー

撮影=釘野孝宏