5.5 FRI 17:00-17:35 CAVE STAGE
Ivy to Fraudulent Game

拭えぬ飢餓感と失わぬ矜持をその身に宿し、
未完の大器が渾身の生き様をCAVEに刻む。

ポストロック的なサウンド・デザインと叙情的な歌詞が孤独感を漂わせる、“she see sea”で始まったIvy to Fraudulent GameによるCAVE STAGE。シューゲイザーやポストロック、さらにはR&Bやチルウェイヴの要素も吸い込みながら、次なるギターロックのスタンダードを生み出す新鋭の登場だ。「起きてるかい!起きてるかい!」という寺口(宣明/G&Vo)の煽りから“Dear Fate,”へ。パープルな照明に照らされる妖艶なステージは、人の心を揺さぶる色気を持った寺口の声を相乗的に引き立て、アグレッシヴな演奏が彼らのロックバンドとしての性を表現していく。「一番小さいステージだからって舐めんじゃねえぞ!」と叫んで突入した“trot”も同様で、その暴音には彼らの本性、もっと上に行くんだ!という満足できない現状に対する飢えが色濃く表れていた。

「やっと出ることができましたビバラ……嬉しいけどここは一番小さなステージ。天井も低い」(寺口)と悔しさをにじませながらも、「俺達を選んでくれてありがとう。いない人にはできないから、目の前にいるお前らに証明して帰ろうと思います。負ける気がしない!!」(寺口)と確信を声にして“青写真”へ。己の音楽への絶対の自信と容易には認められないことへの鬱屈が、情熱的で結束力の高いアンサンブルの中で灼熱の高揚感を生み出していく様に胸を奪われる。

そしてこのアクト最大の興奮と感動が訪れたのがラストの“青二才”だ。「もっと高いところに行こう。闘おう。負けるなよ。夢があるとかないとかじゃなくて、幸せになるために生きている。掴み取ろう。気に入らないものには中指を――俺達まだ“青二才”」というMCは、間違いなく彼らが音楽を続けている理由そのものだろう。そしてその1曲は、<喉を枯らしても叫んでいくんだよ/あの日と変わらぬ絶望の“望”を>と歌う詩的なバラードで、無様な思いを何度味わおうとも不屈の生を全うするこのバンドの生き様である。嘘偽りのなく未来を渇望するような4人の演奏、その終演後も耳にこびりつき離れない轟音は、まるでオーディエンスが抱えある鬱屈すらも燃やしていくようなエネルギーに満ちていた。

(黒田隆太朗)

セットリスト

1. she see sea
2. Dear Fate,
3. trot
4. 青写真
5. 青二才

撮影=釘野孝宏