5.5 FRI 17:10-17:45 GARDEN STAGE
MOROHA

あいつと俺との勝負を見届けろ――
孤独を燃やしきった白熱の数十分

昼下がり、こどもの日のGARDEN STAGE。頭上には快晴の青い空が広がる。フェスの一角でありながらフリーエリアでもあり、屋台にも囲まれたこの場所は、通りすがりの人も顔を出すオープンな空間だ。

でも、そういう人達が思わず足を止めるようなパフォーマンスを見せてくれたのがMOROHAだった。アコースティックギター1本と、マイク1本。最小限の編成で息を呑むようなライヴを見せる2人組。ビバラには初登場。波紋が広がるようにその存在を広めてきた彼らが、その真骨頂を見せてくれた。

まずは挨拶代わりの“YouTubeを御覧の皆様へ”から演奏はスタート。曲名通り動画サイトで彼らを見る人をライヴに誘う曲だ。アフロ(MC)は後半で歌詞を「一度でいい、ビバラに来い!」と変え、喝采が上がる。

「僕が『乾杯!』って言ったら、みんな『乾杯!』で返してもらっていいですか?」とオーディエンスと杯を酌み交わし、続いては“革命”。そして“俺のがヤバイ”へ。リズミカルに、かつ胸に染み入るようなエモーショナルなフレーズを連ねるUK(G)の脇で、アフロは、強がりや、自らを奮い立たせる勇気や、悔しさや、いろんな感情を刻みつけた抜き身の言葉を放つ。

昨年10月に久しぶりのアルバム『MOROHA 3』をリリースした彼ら。後半2曲はそこからの曲だった。特に素晴らしかったのが、ラスト“四文銭”。荒波の中で音楽を続けていくことへの意志を綴った1曲だ。

「2015年のVIVA LA ROCK、後藤まりこさんがキャンセルになったの知ってますか。あの時『MUSICA』の編集部の扉の前に立ちました。その枠を俺に下さい!って言いたかった。だけど入れなかった。その扉は俺には重すぎた。プライドがあった。出してくれって言うんじゃなくて、出てくれって言われたかった。でも、今日ね、駅前で弾き語りやってる男の子がいて。その時、思ったんだ。あの時の俺は間違ったのかもしれないって。プライドってなんだろう? 戦うってなんだろう? 頭を下げてでも守りたい気持ちがあるってことじゃないかって。だからこの曲は、今日駅前で歌ってた弾き語りの子に捧げます。あいつと俺の勝負を見届けてください!」

こう語って、アフロは歌った。曲の後半では、これまで「お前らはヒップホップじゃない」「お前らはロックじゃない」といろんな人に言われてきたことを語り、「俺は、俺だ!」と絶叫。

まさに孤独を燃やしつくしたようなライヴ。「存在証明」の数十分だった。

(柴那典)

セットリスト

1. YouTubeを御覧の皆様へ
2. 革命
3. 俺のがヤバイ
4. 拝啓、MCアフロ様
5. スペシャル
6. 四文銭

撮影=ヤオタケシ