5.4 THU 13:00-13:35 VIVA! STAGE
SPECIAL OTHERS

過度なドラマ性は必要ない
自然光に包まれ、ただいい音楽がそこにあった

初年度から2年連続でSTAR STAGEに出演していたSPECIAL OTHERSが今年はVIVA! STAGEに登場。今日のラインナップにはここ5~10年の日本のロックフェスで常連とされてきた顔触れではない、新しい世代のアーティストも多数含まれているわけだが、スペアザはロックフェスの黎明期にジャズもファンクもアフロも飲み込んだ折衷的な音楽性で、インスト/ジャム系バンドの新たな潮流を作り上げたバンドであり、どこか時代が一周したような印象も受ける。

いつものようにフラッとステージに現れて、各々の持ち場につき、軽い音出しを終えると、ライヴは“BEN”からスタート。宮原良太(Dr)のドラムと又吉優也(B)のアップライトベースによる軽快なリズムに乗せて、まずは挨拶代わりとばかりに柳下武史(G)がノイジーにギターをかき鳴らすと、今度は芹澤優真(Key)がエレピでジャジーなソロを奏で、一瞬のサイケデリックなジャムを挟み、後半では歌も入ってきて一気に開放的な雰囲気に。室内とはいえ自然光も降り注ぎ、抜群に気持ちがいい!

続いて始まった“Good Luck”はギターが裏拍でレゲエ的なリズムを刻みつつも、レイドバックすることはなく、やはりリズムはスムーズ。ドレミファソラシドとポップなメロディの掛け合いも楽しい。MCでは芹澤のやや真面目な口調に、宮原が「俺も真似していい?」と訊くと、「様々な違いがあって、この世界は成り立っている! そんな人達が集まってひとつの音楽が生まれている!SPECIAL OTHERSです!」と突然の男前発言。もちろん、明らかに適当なんだけど、幅広い世代と音楽性のアーティストが集うこの日のVIVA LA ROCKで、数少ないインストバンドながらオーディエンスを踊らせるスペアザの姿を観ていると、「そうだよね!」なんて思ってしまう。

ラストに披露されたのは序盤から手拍子も起こった“PB”!又吉がエレベに持ち替えてロック的な色合いを強め、芹澤と柳下がソロを聴かせつつ、徐々にBPMが上がって行くと、踊り出す人の数もどんどん増えて行く。オルガンとエレピがカラフルに楽曲を彩り、ときに主張の強いギターがアクセントをつけつつ、一瞬のブレイクからラストで4人がユニゾンする展開もグッとくる。やはり、いいものはいい。必殺のスペアザ節は、何年経っても素晴らしい。

演奏を終えた宮原の最後の一言は、「横っ腹痛いの治りました!」。どこまでもマイペースで、過度なドラマはここにはない。しかし、その中心にはただただ最高の音楽があった。

(金子厚武)

セットリスト

1. BEN
2. Good Luck
3. PB

撮影=HayachiN