5.5 FRI 14:15-14:55 VIVA! STAGE
the band apart

20周年に向け、再びバンドモードに
定番曲と新曲を織り交ぜた充実のステージ

VIVA LA ROCK常連の一組、the band apartがVIVA! STAGEに登場。昨年はthe band apart(naked)名義のアコースティックセットや□□□とのコラボレーションなど多彩な活動を展開していたが、今年は3月に「新曲公開リハーサル」と銘打って1年4ヶ月ぶりのワンマンを開催。バンドとしてギアを上げてきた中でのライヴに期待が高まる。

ゆっくりとメンバーがステージに現れ、木暮栄一(Dr)がリズムを刻み始めると、そのまま1曲目の“higher”へ。2年前の出演時も同じ曲でスタートしていたが、自然光が降り注ぐVIVA! STAGEで聴く突き抜けたサビの解放感はやっぱり最高だ。続く2曲目はこちらも定番の“Eric.W”。ワウを効かせた川崎亘一(G)のファンキーなプレイが心地よく、サビの「イェー!イェー!イェー!」ではオーディエンスが一斉に飛び跳ねる。「みんな一緒に」というよりは、一人ひとりが思い思いに楽しんでいる感じがバンアパのライヴらしい。

ヘヴィネスとファンクネスを自在に行き来するプログレッシヴな展開が特徴の“KIDS”を演奏し終えたところで、荒井岳史(Vo&G)が「VIVA LA ROCK、2年ぶりに出れました。ありがとうございます」と挨拶。すると原昌和(B)が「鹿野は観てるか? 呼んどいて観ねえとかホント失礼なやつだ。友達を人前にさらすとかとんでもねえ」と愚痴をこぼしつつ、「まあ、人柄がいいから人が集まるんだろうな。鹿野フェス最高ですね」と話す。このMCも、もはやビバラの名物だ。

「新しい曲やりますんで、聴いてください」と始まった“find a way”は重めのベースとカウベルを絡めた軽快なドラムが対照的で、サビでは荒井の<Tonight.You and I>という歌の後ろで川崎が耳に残る裏メロを弾き、ソウルフィーリングたっぷり。疾走感のある“coral reef”に続く“ピルグリム”での川崎のループフレーズや木暮の複雑なリズムパターンからは、やはりこのバンドが異なる個性の集合体だということが伝わってくる。また、ジャズやファンクを基調としたバンドが日本でもオーバーグラウンドに進出しつつある中にあって、HR/HMやハードコアからそこに向かった彼らのオリジナリティが改めて浮き彫りになっていたようにも思う。

「さっきG-FREAK FACTORYが20周年って言ってましたが、僕らも来年20周年で、こんなに長くバンドやれてて嬉しいです。ありがとうございました」と荒井が感謝の言葉を伝えると、最後に届けられたのは“夜の向こうへ”。ストレートに熱い想いを語るバンドが多い今日のラインナップの中にあって、彼らの立ち位置は少し特異だと言ってもいいかもしれない。しかし、初期から独立してバンドを運営し、自分たちのペースで活動を続けながら、後続にも大きな影響を与えてきた彼らの決して短くない歩みは、やはり最高にパンクである。

(金子厚武)

セットリスト

1. higher
2. Eric.W
3. KIDS
4. find a way
5. coral reef
6. ピルグリム
7. 夜の向こうへ

撮影=HayachiN