5.4 THU 11:05-11:45 STAR STAGE
水曜日のカンパネラ

度肝を抜く演出でアリーナを完全掌握。
コムアイが見せた水カンの「本質」

2日目のSTAR STAGE、トップバッターを務めたのは水曜日のカンパネラだ。SEに続いて“ナポレオン”の軽快なビートが鳴り響くと、コムアイはなんと会場左手後方から神輿に乗って登場! きっと初めて水曜日のカンパネラのライヴを目撃した人は度肝を抜かれているはずだろう。

実は、彼女がステージではなく客席から登場するのは珍しいことではない。それでも、さいたまスーパーアリーナの広いSTAR STAGEでそれが実現するのは快哉をあげたい気持ちだ。正二十面体の形をしたメタリックな神輿も格好いい。

そのままアリーナを移動して回ったコムアイは、中央からフロアを見回して「おはようございます!」と笑顔で挨拶。いきなりフロアを掌握してみせる。

ビバラには2年連続出場。CAVE STAGEでの出演だった昨年から一気にステップアップを果たした水カンが見せてくれたのは、まずは開放感たっぷりのパフォーマンスだった。“シャクシャイン”から、MCでは“ディアブロ”での「いい湯だね」のコール&レスポンス。お客さんの息は最初からバッチリで、さらには途中からどんどん囁き声の応酬になっていくという遊び心も見せて「今入ってきた人、ビックリしてるでしょ」と笑わせる。

こういう仕掛けたっぷりなエンターテイメント精神は、水曜日のカンパネラの大きな魅力ではあるのだけれど、実はグループの本質はそこだけじゃない。この日のステージはそこもキッチリと見せる展開だった。“ウランちゃん”では、ケンモチヒデフミの手掛けるジュークの性急なビートに乗せて、コムアイが身体をくねらせ歌う。レーザーが舞う。観るものを圧倒するような演出だ。続く“ユタ”はオオルタイチがトラックを手掛けた宮古島の雨乞いの歌をもとにした曲。最先端のサウンド、そして古来からずっと続く「巫女」の役割を現代にアップデートして引き受けようとしているコムアイの意志というふたつの柱が、グループの根っ子になっているのである。

“桃太郎”では「今からそっちに行きます!」と、透明のバルーンに入ってアリーナに飛び込んだコムアイ。オーディエンスの上をぐるぐると転がりながらアリーナ中央まで運ばれて「魂の16連射!」と叫ぶ。そしてラストは“一休さん”。今度は移動型のステージに乗って、フロアレベルをぐるりと歌いながら回り、やはり客席後方の出口からコムアイは去っていった。

アリーナ全体を目一杯使ったパフォーマンスを見せてくれた水曜日のカンパネラ。最高に痛快なトップバッターだった。

(柴 那典)

セットリスト

1. ナポレオン
2. シャクシャイン
3. ディアブロ
4. ツイッギー
5. ウランちゃん
6. ユタ
7. 桃太郎
8. 一休さん

撮影=古渓一道