5.4 THU 13:45-14:20 CAVE STAGE
yahyel

強靭なグルーヴが織りなす
未知との遭遇!

新世代のクラブオリエンテッドなポップミュージックの旗手として、D.A.N.と共に今、大きな注目を集める存在であるyahyel。入場規制がかかるほどパンパンに混雑した会場は、スタート前からオーディエンスの熱気で満ちていた。サウンドチェックで池貝峻(Vo)がこの後、同じくCAVE STAGEに出演するD.A.N.の楽曲である“Zidane”と、完全なる大ブレイクと共にSTAR STAGEに一気に昇格したSuchmosの“MINT”を即興で歌ってみせる一幕も。音楽性もアティチュードも違えど、それぞれに真摯に自らの音楽を追究する中で緩やかに繋がる今の新しいシーンの様相が垣間見えてくる。

サウンドチェックではそんな和やかな雰囲気も見られたが、本編が始まると一変。もう一音目から、シンセ、リズムマシン、サンプラーと生ドラムで構築されたヘヴィなサウンドが地面を揺るがす勢いでウネり轟き、池貝のヴォーカルが深くソウルフルな響きで放たれ、さらに映像作家の山田健人(VJ)が担当するクリス・カニンガム(BjorkのPVなどを手がけた映像作家)・ジェネレーションへの日本からの回答とも言えるような目紛しくイメージが横溢するVJが、「甘く見るんじゃねぇぞ」とばかりに会場を異空間へと変えていく。もしかしたらyahyelに対してスタイリッシュで無機的な印象を持っている人も多いかもしれないが、彼らは実に肉体的かつ衝動的・躍動的なライヴを繰り広げるのだ。映像がステージ背面へと投射されているため、バンドメンバーの姿はほとんどが黒いシルエットでしかわからないが、それでも彼らの鬼気迫るような気迫と熱量が伝わってくる。特にヴォーカルの池貝はハンドマイクをひっ掴み、時に激しく体を動かしながらオーディエンスを煽っていく。

昨年リリースしたファーストアルバム『Flesh and Blood』からの楽曲のみならず、新曲も2曲披露。どちらもクワイヤのような静謐でロマンティックなヴォーカルと、「ポストダブステップ以降」をさらに更新していく先鋭的なトラックがyahyelが新たな世界への扉を開きつつあることを示していた。yahyelは自分達のことを「バンド」であるとは定義していないが、最後にダメ押しで演奏された“Once”、そして”Why”におけるVJの視覚的な効果も含めた演奏の有機的なダイナミクスは、この5人がひとつの表現集団として活動することの必然を証明しているようだった。

「〜である」という括りにハマりたくないという理由で、高次の存在を意味する“yahyel”という名前を選んだ彼ら。小刻みに身体を揺らしながら、目の前にある未知との遭遇を楽しもうとするオーディエンスの姿は、まさにそんなyahyelのフィロソフィーをそのまま体現しているかのようだった。

(小田部 仁)

セットリスト

1. Intro
2. Midnight Run
3. The Flare
4. 間奏
5. 新曲
6. Iron(新曲)
7. Once
8. Why

撮影=釘野孝宏