VIVA LA ROCK 2018

5.3 THU 18:05-18:50 CAVE STAGE
雨のパレード

ポップの冒険者が見せた
極上のロマンティシズム

静寂の中、ノイズに少しずつフレーズが重なっていき、徐々に離陸していくかのように、“Reason of Black Color”からライブはスタート。初日のCAVE STAGEヘッドライナーをつとめるのは雨のパレードだ。

ビバラ初出演となった昨年から、彼らは目覚ましい成長を遂げてきた。楽曲には歌としての強度が、パフォーマンスには熱いパッションが宿るようになってきた。そうしてシーンに支持を広げてきた。この日のステージはそんな彼らの変わらぬロマンティシズムと野心と冒険精神を見せる場だった。

“Tokyo”から“new place”と初期のエレクトロニックなダンスチューンを続けフロアを揺らすと、続く最新アルバム『Reason of Black Color』収録の“Shoes” では福永浩平(Vo)のエモーショナルな歌心でオーディエンスの心をぐっと掴む。福永は「歌える?」「踊ろう!」とオーディエンスにたびたび呼びかける。さらには「ここは洞窟だよね。みんなで深いところまで行こう!」と披露した“Count me Cut”ではミニマルなビートで酩酊感を作り出す。こうした音楽的な引き出しの多さ、サウンドの先鋭性は彼らの大きな武器だ。山崎康介(Gt)、是永亮祐(Ba)、大澤実音穂(Dr)のシュアな演奏力がそれを形にし、どんどんと熱を帯びていく福永の歌声がそこに日本語のポップスとしての浸透力をもたらしている。

MCではこのCAVE STAGEの周囲に張り巡らされた銀色のオブジェに触れ、「主催者の鹿野さんが俺らをイメージしてデザイナーと作ってくれたそうです。ありがとうございます。めちゃくちゃ嬉しいぞ!」と福永が笑顔を見せる。「でも、一つ言いたいのは、ここでおさまるつもりはないんで」と言い、ギラギラとした野心を見せていたのも頼もしかった。

壮大なスケールの“MARCH”で締めくくった彼らは、終演後も鳴り止まない拍手に応えてアンコールに登場。「温まった身体をチルアウトするということで、一曲だけロマンティックな曲をやって終わろうと思います」と、ラストはしっとりとしたメロディのラブソング“You & I”を披露してステージを降りた。

ポップであることと、エッジーであること。その二つを矛盾なく両立しているのが今の雨のパレードだ。この先、さらに大きなステップを登っていく予感がする。

セットリスト

1. Reason of Black Color
2. Tokyo
3. new place
4. Shoes
5. Count me out
6. MARCH
En1. You & I

撮影=小見山 峻 テキスト=柴 那典