VIVA LA ROCK 2018

5.3 THU 13:00-13:35 VIVA! STAGE
D.A.N.

3人の生演奏のみで生み出すトランシーな空間
自然光が降り注ぐ中、ネクストステージへの予兆を見せる

2年連続の出演となるD.A.N.は初のVIVA! STAGE。彼らの生み出すスピリチュアルなグルーヴというのは、自然光の降り注ぐ開放的な空間であるVIVA! STAGEよりも、去年出演したCAVE STAGEのような密閉された空間の方が似合うイメージもあるが、果たして?

マーク・プリチャードのアンビエントな楽曲が流れる中、メンバー3人が登場。これまではサポートに小林うてなを迎えた4人編成でライブを行ってきたが、この日は3人のみの演奏で、一曲目は今年発表された新曲“Chance”。前半はシンセのループフレーズを基調に進み、右手をゆらゆらと揺らしながらファルセット気味に歌い上げる櫻木大悟の表現力の向上にまず驚かされる。リズム隊は途中までダウンテンポ気味に心地よいグルーヴを刻むが、中盤からタイトな4つ打ちとともにヒートアップして行き、ブレイクを挟んで一気にトランシーな空間へと誘われる。ああ、これはむしろ広い空間こそが似合うと言うべきかもしれない。

ミニマルテクノ寄りな“Sundance”では市川仁也による指弾きのファンキーなベースと、櫻木がリズミカルなタッチで演奏するキーボードが絡み、堅実なプレイでアンサンブルを引き締める川上輝のドラムも含めた3人が少しずつフレーズを変えながら、ヒプノティックな快感を生み出して行く。そのままシームレスに繋がった“SSWB”はディープハウス的な高揚感がありつつ、川上の細やかなハイハットワークと、市川の5弦ベースによる重低音に嫌が応にも体が動く。リスナーとしてクラブミュージックにより深くコミットする一方で、OGRE YOU ASSHOLEのようなバンドと共演を重ね、グルーヴと向き合ってきた成果が確かに表れていると言えよう。

ファンにはお馴染みのアレン・ギンズバーグによる詩の朗読から始まる“Ghana”で櫻木は初めてギターを手にし、市川のベースリフが引っ張るリズムに体を揺らすオーディエンスがさらに増えると、キャッチーなコーラスに合わせてフロアからはたくさんの手も上がっている。前述のように、こういった初期曲はもともとサポートを含む4人編成で演奏されていたわけだが、3人で十分に楽曲が成り立つようになっているというのは、間違いなく成長の証。「ありがとうございます」と言葉少なに挨拶をする櫻木からも、どことなく余裕が感じられる。

最後に演奏されたのは、こちらも初期からのレパートリーである“Morrison”。やはり市川のベースが引っ張るソリッドな曲だが、中盤以降のスケールの大きな展開からは、生演奏だからこそ生み出すことのできるダイナミズムが強く感じられ、VIVA! STAGEの空間にもピッタリハマっていた。そういえば、彼らは今年アタマにThe XXのサポートで幕張メッセのステージも経験しているバンドである。深夜のクラブで酩酊しながら音の波に溺れるのももちろんいいけど、これからの彼らはより大きな会場を揺らすようなバンドになって行くのかもしれない。

セットリスト

1. Chance
2. Sundance
3. SSWB
4. Ghana
5. Morrison

撮影=釘野孝宏 テキスト=金子厚武