VIVA LA ROCK 2018

5.3 THU 12:40-13:15 CAVE STAGE
DOTAMA

栃木も埼玉もまとめてユナイト
ビバラ初降臨のDOTAMAがCAVEをロック!

Creepy NutsやSKY-HIらのおかげで、ビバラで少しずつ存在感を高めているヒップホップ勢だが、この勢いをもっと大きなムーブメントに繋げたいところ。2015年のビバラ最終日夜中に行われたアフターパーティー「AFTER VIVA!!!」への出演を経て、今回本編初出演を決めた栃木生まれヒップホップ育ちのMC、DOTAMAに大きな期待がかかる。

初出演のMCにとってロックフェスはさぞアウェイな現場かと思うかもしれないが、全くそんなことはない。彼は全国各地のフェスに引っ張りだこな存在。ロックフェスでのやり方だって十分に心得ている。出番のかなり前からCAVEにも多くの人が集まっているのは、彼がこれまで全国をがっちりロックしてきた証拠だ。

DOTAMAのビバラへの自己紹介は“ディスっていいとも”。謙虚な姿勢で毒を吐く彼らしいオープニングだ。音源では声をかぶせて録音したり、いくらでも聞こえをよくすることはできるけど、ライヴではそうはいかない。ロックバンドと同じく、ラッパーの真価が問われるのはステージの上。ラップスキルや楽曲のクオリティはもちろんのこと、フロアの後方にいてもリリックが聞き取れる。メッセージが心に届く。彼の声の力はかなり大きい。

テンション高く攻め立てた序盤から一転、「北関東の音楽シーンに要るみんなに捧げるぜ」と披露したのは“栃木のラッパー2”。栃木に生まれ、サラリーマンを10年続けながらラップをしてきた彼の半生を情感たっぷりにスピットした。DOTAMAのライヴを初めて見たという観客も多かっただろうが、彼のストーリーテリングのスキルは力強く皆の意識をひきつける。

中盤のインターバルでは、DJ YU-TAが見事なターンテーブルさばきを披露。N.W.A.“Gangsta Gangsta”などを混じえたプレイでフロアを湧かせた。さらにフロアが沸騰したのはその直後。なんと、KEN THE 390がステージに現れ、彼の最新アルバムから“調子悪い”をDOTAMAと共に披露したのだ。

ここで勢いをつけ、“楽曲のテーマ”、“通勤ソング”、“ベストソング”とアッパーチューンを畳み掛けた。ステージから煽られるがままにフロアの奥まで手が挙がり、「ビバラ、やさしいな!」DOTAMANに言わしめる一幕も。ビバラの客のノリが元々いいというのもあるけど、何より彼のステージングにグッと引き込まれていたに違いない。上記の3曲を短く繋ぎ、フロアの熱を一切冷ますことなくエンディングへ。ラストの“音楽ワルキューレ3”でも、<ジャンルもクオリティも飽和/だが衰退するなんてNOだ>と濃厚なメッセージをポジティブなサウンドに乗せ、最後まで駆け抜けた。

来年のビバラにラップアクトが増えたとしたら、それはきっとDOTAMAのおかげだろう。そんなふうに思わせるぐらい、ヒップホップとロックフェスのクロスオーバーを強く感じさせるライヴだった。

セットリスト

1. ディスっていいとも
2. 悪役
3. 何言ってんの
4. Y☆KAI WATCH
5. 栃木のラッパー2
6. DJ YU-TAルーティン
7. 調子悪い
8. 楽曲のテーマ
9. 通勤ソング
10. ベストソング
11. 音楽ワルキューレ3

撮影=小見山 峻 テキスト=阿刀“DA”大志