VIVA LA ROCK 2018

5.4 FRI 12:15-12:50 CAVE STAGE
Ivy to Fraudulent Game

静と動、生と望、情と芯――
美麗な旋律に換えすべて解き放つ4人の神髄が轟く!

リハで“革命”を披露するとハンズクラップが起こるなど、開演前からCAVE STAGEにはIvy to Fraudulent Gameへの期待と信頼が漂っていたが、「リハ」と「ライヴ」では会場のムードも緊張感が激変する。“水泡”で幕を開けたステージは、4人の音楽に懸ける意志と意地が音塊となってステージを埋め尽くすような、そんな濃縮な35分間だった。

パープルライトに照らされるステージは怪しい輝きを放出し、寺口宣明(G&Vo)の妖艶な声に拍車をかける。「フェスのお決まりとかコールアンドレスポンスのこととかよくわかんないんだけど、一番カッコいいライヴして帰ります」という宣言から“青写真”を掻き鳴らし、“劣等”の間奏では「知らなくてもいいよ。全員で行こうよ!」(寺口)と煽っていくその言葉の裏にあるもの、それは言うまでもなく自分達の楽曲の持つ力への確信だろう。彼らの楽曲にはそれだけの人を惹きつける魅惑とポピュラリティ、ロックバンドとしての熱気と説得力があるのだ。何より、ポストロック的な発想で構築された立体的なアンサンブルは美しく、激情的な寺口のヴォーカルを乗せて渾然一体となる瞬間は押し黙るほどに鮮烈だ。

そしてそこから訪れたのが、“青二才”で締める最高のクライマックスである。「去年ここで言ったことを俺は覚えています。フェスに呼ばれるのは凄い嬉しいことで、ここに集まってくれるのも凄い嬉しいことです。ただ、去年俺は『もっと天井の高い巨大なステージに行きたい』と言いました。俺は1mmも諦めていません。今年も出れたことは嬉しいけど、やっぱみんなを向こうに連れていきたいです。必ず自分達の音楽を掲げて、武器にして幸せにしたいです。ずっとそばにいてください」(寺口)と語って歌われた“青二才”には、この日一番の迫真がこもっていた。彼らの奏でるメランコリックな旋律、ミッドテンポの曲調と歌に多くの拳を上げて応えるフロアが本当に感動的だ。

ソリッドでアップテンポな楽曲で次々とフロアを誘爆していった前半と、美麗なメロディに劣等感と生への渇望を綴ったリリックを重ねることで、人の心の深部に訴えかけるラスト。このコントラストこそがこのバンドの魅力であり、無類の能力なのだ。<喉を枯らしても叫んでいくんだよ/あの日と変わらぬ絶望の"望"を>というリリックに滲ませる切なる願い、渾身の表情で叫ばずにはいられない強烈な渇き、そして何よりロックバンドとしての強い矜持――それらを音楽に換えて届ける彼らの神髄は、一切のほころびもなくオーディエンスに届いただろう。

セットリスト

1. 水泡
2. 劣等
3. 青写真
4. アイドル
5. 青二才

撮影=小見山 峻 テキスト=黒田隆太朗