VIVA LA ROCK 2018

5.4 FRI 15:00-15:45 STAR STAGE
凛として時雨

『#5』から『#4』へ、歴史の重みを感じさせつつ、
進化を続けるバンドの今を刻んだ圧巻のライブ

凛として時雨が2年ぶりにSTAR STAGEに帰ってきた。埼玉で結成された彼らにとっては、結成15周年を経ての凱旋ライブだと言ってもいいだろう。また、この日のラインナップはまだ「フェスロック」という言葉が生まれていなかった頃、00年代後半から日本のロックシーンを盛り上げてきた同時代のバンドと、今まさにフェスで主役となりつつある若手バンドが融合していて、先駆者としての実力を見せつけるにはもってこいの舞台設定でもある(もちろん、本人たちは一切そんなことは気にしていないだろうが)。

ノイズが鳴り響く中、メンバー3人がステージに静かに姿を現すと、一曲目を飾ったのは最新作『#5』収録の“DIE meets HARD”。時雨としては少しBPM遅めのミドルテンポながら、硬質で重厚、なおかつダンサブルでもあるという、現在進行形のバンドの姿を強烈に印象づけるナンバーだ。続く“Who What Who What”でのTKによる指弾きを駆使したスリリングなギタープレイと、サビにおけるハイトーンなツインボーカルの掛け合いは、まさに真骨頂と言えよう。

イントロでピエール中野がスティックを振り回してオーディエンスを煽った“I was music”は、緩急を付けた展開を経て、一気にドライブするサビの疾走感が実に気持ちいい。さらには345の歪んだ重たいベースと、TKのトランシーなギターの対比が鮮やかなライブでの定番曲“DISCO FLIGHT”で、再びダンサブルなビートにフロアが大きく揺れる。TKのエモーショナルな絶叫に対し、345の歌声もかなりたくましくなった印象を受ける。

ひたすら曲を演奏し続けるライブは早くも折り返しを迎え、こちらも初期曲である“想像のSecurity”を披露すると、TKが「おひさしぶりです、凛として時雨です。今日は最高の一日にしましょう」と一言だけ挨拶をして、“abnormalize”へ。強烈にエフェクトを効かせ、スライドを巧みに織り交ぜたテクニカルなTKの速弾きはやはり圧巻である。そこからさらに畳み掛け、インパクト抜群のイントロから始まる“Telecastic fake show”でフロアの盛り上がりも最高潮に。「盛り上げる」という概念は決して悪ではないが、自らの世界観をひたすらに研ぎすませて解き放てば、そこには真の熱狂が生まれるということを、彼らのステージは確かに証明している。

TKの美しいアルペジオから始まったラストナンバーは、デビューアルバム『#4』に収録されていた“傍観”。ここまでの狂騒的なステージからは一転、ゆったりとしたリズムに乗せ、TKが言葉を紡いで行く。〈僕は知らない 僕は見えない 僕は汚い 僕は消えたい〉という印象的なリフレインを経て、後半から突如演奏がバーストすると、ピエールの重量感のあるリズムの上で、ツインボーカルが咆哮。アウトロではカオティックな音の渦の中でTKが絶叫を繰り返し、掻きむしったギターを放り投げて、壮絶なエンディングを迎えた。

セットリスト

1. DIE meets HARD
2. Who What Who What
3. I was music
4. DISCO FLIGHT
5. 想像のSecurity
6. abnormalize
7. Telecastic fake show
8. 傍観

撮影=古溪一道 テキスト=金子厚武