VIVA LA ROCK 2018

5.3 THU 17:10-17:50 VIVA! STAGE
Nulbarich

2018年最も勢いのあるバンドのひとつ
初登場のビバラを極上のグルーヴで包み込む

VIVA LA ROCK初登場にして、堂々VIVA! STAGEトリ前に出演のNulbarich。昨年からの彼らの勢いはとどまることを知らず、代表曲“NEW ERA”がSuchmosの“STAY TUNE”と同じHONDAのCMに起用され、さらには新曲“Kiss You Back”が過去にサカナクションや星野源も起用されたアネッサのCMソングに抜擢。すでに11月には日本武道館でのワンマンも決定しているとあれば、この出順も十分に納得といったところだろう。

まだ開演前のSEが流れる中、6人のメンバーがフラッとステージに現れ、下手から鍵盤、ドラム、JQ、ベース、ギター、ギターという独特な並びの位置に着くと、まずはセッションからライブがスタート。重厚な演奏を聴かせると、“It’s Who We Are”へ。JQのわずかにスモーキーでありつつ、美しいファルセットも聴かせる声の力は流石で、一瞬にして場を掌握する力がある。

「初登場です。よろしくお願いします。お手柔らかに」という挨拶に続いては、彼らの名前を一躍世に知らしめた“NEW ERA”。音源だとJQのトラックメーカー的な資質も魅力になっているが、ライブでの生バンドも非常にレベルが高い。基本的には、JQのバックで演奏に集中しているだけだが、鍵盤やギターはソロも随所に散りばめられていて、それぞれの個性も感じられる。「今日またひとつ夢が叶った日になりました。ホントにありがとうございます。しっかり邁進して行くんで、これからもNulbarichよろしくお願いします」というMCに続く“Follow Me”はベースを軸にかなり躍動的かつファンキーな演奏で、グルーヴがひたすらに心地よい。

90年代のヒップホップ的な雰囲気が感じられる“In Your Pocket”に続いては、スケールの大きなダンストラック“Almost There”。この曲ではシンセベースが用いられ、80年代的な感覚も。メンバーのスマホのアラームが鳴ってしまい、「お詫びと言ってはなんですが」と言って届けられた“Kiss You Back”も4つ打ちとビッグなコーラスが印象的で、トップ40ヒットも狙えそうなポップスとしての完成度が抜群だ。

また、JQのつかみ所のないキャラクターも彼らの魅力と言えるかもしれない。ステージングは特に派手ではなく、自由にグルーヴに身を任せながら歌う姿は真摯に音楽を愛し、追求するミュージシャンシップの表れのようであり、オーディエンスに感謝を伝える言葉も実に丁寧。かと思えば、拍手が短めだったときに、「鳴り止まない拍手ありがとうございます」とジョークを飛ばしたり、“Kiss You Back”の演奏後は、「緊張したからしばらくやんね」とこぼしてみたり。その飄々とした佇まいは、フロントマンとしてはなかなか珍しいタイプかもしれない。

改めて、グルーヴマスターぶりを印象づける“Zero Gravity” から、「今日はホントにありがとうございました」と感謝を述べつつ、「悔いは残さないタイプ」とぽつりと呟いて、ラストはこちらもシンベを用いたダンスチューン“ain’t on the map yet”。非常に完成度の高い歌と演奏に対して、「知ってる人は一緒に歌って、知らない人は適当に踊って」と、最後までキャラクターは掴めなかったが、やはりこれは何より音楽そのものに対する自信があることの裏返しなんだと思う。「もっと観てみたい」と、きっと多くの人が思ったはずだ。

セットリスト

1. INTRO - Session
2. It’s Who We Are
3. NEW ERA
4. Follow Me
5. In Your Pocket
6. Almost There
7. Kiss You Back
8. Zero Gravity
9. ain’t on the map yet

撮影=釘野孝宏 テキスト=金子厚武