VIVA LA ROCK 2018

5.3 THU 11:35-12:10 CAVE STAGE
小袋成彬

唯一無二の才能、
その歌が見せる神秘との出会い

一瞬で空気を塗り替えるような、鮮烈な才能の登場だった。

デビューアルバム『分離派の夏』を4月25日にリリースしたばかりの小袋成彬。作品は震撼と共に多くの音楽ファンに受け止められ、瞬く間に広まった。が、彼自身はライブ自体もまだ数えるほどしか行っていないニューカマーだ。VIVA LA ROCKにもこれが初登場。開演前からCAVE STAGEには一杯に人が集まり、オーディエンスたちの期待がざわめきとなって聴こえてくる。

キーボードとギターをサポートに迎えた3人編成で小袋成彬がステージにあらわれると、ライヴは“Game”からスタート。ファルセットの歌声が響いた瞬間、それまでざわめきに包まれていた会場に、息を呑むような緊迫感が包まれる。続く“Selfish”も”Summer Reminds Me”も、最小限の音の構成に乗せた彼の歌声が場を掌握していく。プログラミングされたベースとリズムがサウンドの土台を支える。床が震えるほどの低音も強烈だ。

“Lonely One feat.宇多田ヒカル”では宇多田ヒカルの歌声の音源に乗せて小袋成彬がハーモニーを響かせ、そこから途切れることなく続いた“Daydreaming in Guam”では、曲後半で小袋成彬自身がギターを抱え、サポートギターのキダ モティフォと共に轟音のギターサウンドの壁を築き上げる。さらにはフレーミング・リップス“Do you realize?”のカバーを披露。これも原曲とは全く違う、小袋成彬ならではの表現となっていた。

後半は“茗荷谷にて”、“E.Primavasi”を披露し、ラストはアルバム『分離派の夏』でも最後に収録されていた“愛の漸進”。どの曲もアルバムに収められたものとはアレンジが変わり、生々しい迫力を持って響いていた。大きな拍手の中、彼とサポートメンバーがステージを降り、ライブは終了した。

彼の才能を、そしてその歌声が持つ神秘的な力をまざまざと体感させられたステージだった。

セットリスト

1.Game
2.Selfish
3.Summer Reminds Me
4.Lonely One feat.宇多田ヒカル
5.Daydreaming in Guam
6.Do you realize?
7.茗荷谷にて(extended)
8.E.Primavasi
9.愛の漸進

撮影=小見山 峻 テキスト=柴 那典