VIVA LA ROCK 2018

5.4 FRI 15:30-16:05 CAVE STAGE
Saucy Dog

懐の深い三位一体の歌でCAVEを圧倒
無限の可能性を持つバンドの進化に心底感服

リハの前から歓声が起こるなど、CAVEいっぱいにお客さんを呼び込んだのがSaucy Dog。開始直後、そっと爪弾いた“煙”のギターの一音だけで手を掲げる者が何人もいるなど、彼らの音楽にはそれだけの希求力と説得力が漲っている。鳴っているのはドラム、ベース、ギターの3つだけだが、ピタリと息の合った3人の演奏と石原慎也(Vo&G)の歌声、せとゆいか(Dr&Cho)のそっと包み込むようなコーラスが合わさった時のパワーが凄まじい。どうしようもなく目も耳もステージへと持っていかれるのも無理からぬことだろう。

「私達VIVA LA ROCK初めて出演させていただいています。凄い楽しみにしてきました。ここに立てて幸せです――しかも最初から手上げてくれたよな。びっくりした。『あ、売れてる!』って思ったよな?」(せと)、「いや、勘違い勘違い!(笑)」(石原)という掛け合いからも、今の彼らの自信と調子のよさが伺えるだろう。3人で音を鳴らし歌っている限りこのバンドは無敵なのだ。だからこそ新曲の“真昼の月”でも、代表曲の“ナイトクロージング”でも変わらない歓声が会場中を埋め尽くす。それにしても石原の歌声の伸びのよさはもはや異次元で、この1年、ヴォーカリストとしての才覚をどんどん開花していったことでこの景気を作り出せているのは間違いないだろう。

「僕は別に大きいステージっていうものに執着心はなかったんですけど、こうやって今日ここに時間割いて見てくれてるみんなや、僕のことを応援してくれている大切な人達を連れて行けるならめちゃくちゃいいなって思いました。今日来れなかった人もいると思うけど、そういう人達全員に支えられてるから自分達ももっと大きいステージに出たいって思えるんです。ありがとうございます。最後に2曲大事な曲をやって帰るんですけど……いつか、いつかまた、最高の景色を見たいです」(石原)

MC中に口にした「いつか」という言葉だけで嗚咽とも言える歓声が上がった“いつか”、会場中の拳が上がりこの日一番の一体感を生み出した“グッバイ”の2曲を歌って大円団を迎えたSaucy Dog。身体の奥の芯を震わせるようなライヴは圧巻そのもので、3人のどこか親近感を抱かせる素朴な姿からは想像もつかないほどにその音楽は雄大。間違いなくこの時間、彼らは何者にも負けない王者だった。

セットリスト

1. 煙
2. メトロノウム
3. ナイトクロージング
4. 真昼の月
5. いつか
6. グッバイ

撮影=小見山 峻 テキスト=黒田隆太朗