VIVA LA ROCK 2018

5.5 SAT 11:05-11:45 STAR STAGE
SiM

ビバラ皆勤賞のSiMだからこそ果たせた重責
レゲエパンクの絨毯爆撃がSTARを襲う

2018年のVIVA LA ROCK3日目は、歴代ぶっちぎりでパンク色が濃い。いわば、VIVA LA 「Punk」。そんな1日に弾みをつけるのはSiM。これ以上ないトップバッターでしょう。そのせいか、STAR STAGEには早くもかなり多くの観客が集まっている。開演前、オーガナイザーの「モッシュダイブは自由です」という言葉に大喝采が贈られたのも今日ならでは。準備体操の一斉ジャンプで床が揺れた。

SEとして場内に鳴り響く不穏なサイレンは今日一日のスタートの合図。そして、MAHが「Say Yeeeeaaaah!」とひと煽りしてから“Get Up, Get Up”。グロウルとクリーンボーカルを使い分けるMAHのボーカルがSTARを貫く。ステージ背後ではSiMオリジナルの映像が流れ、まるでワンマンのような雰囲気。既に横浜アリーナワンマンを成功させている彼らだが、この場所でのワンマンもそう遠くないのではないかと思わせるムードがある。

フロントマンとして、この40分間のホスト役として、全体を先導するMAHは余裕たっぷり。激しく暴れ回るのではなく、悠然と構えるスタイル。ほんのひと言「回れ」と言えば、そこら中にモッシュサークルが生まれる。彼のちょっとした挙動で会場全体がぐわっと動き出す瞬間に痺れが走る。格好良い。これは真似したくても一朝一夕にできることではない。演奏陣の安定感も抜群だ。GODRiの後乗りのドラミングがサウンド全体をよりヘヴィにグルーヴィにさせる。

昨年末にリリースされた最新曲で、ライヴではまだ多く披露されていない“The Sound of Breath”のようなスローチューンもいいアクセントになっていた。さっきまで激しく明滅していた照明の動きがパタリと止まり。白と薄青の光だけでバンドを照らす。そして、演奏の厚みが増していくふとした瞬間に赤の照明が斜めにステージを突き刺す。かなりクールだ。ここは暴れ回るキッズのための休憩時間ではない、静と動を併せ持つSiMのもうひとつの見せ場。そして、このあとに続く“MAKE ME DEAD!”がより映えるのである。

だんだん熱がこもってきたMAHは曲中に歯が折れるというアクシデントに見舞われた。「テンション落ちるわ~。帰りたい」と弱気な顔を一瞬見せるが、すぐに気を取り直し、「俺はこの歯を賭けて思いっきりやります!」と「oh na na na」のコーラスを客席に求め、「うるさーい!」と言わせるほどの反応を得たのち、ここぞの一発“Blah Blah Blah”へ突入。MAHの大号令で発生したシンガロングが最高に気持ちいい。

そして、最後はショートパンクチューン“f.a.i.t.h.”。この展開がわかっていたキッズはタイトルコールの前からウォール・オブ・デスの準備万端。曲が始まると同時に両サイドの人間が一斉に反対側へ突進していく。実に清々しい画だ。今日はこんな光景をたまアリのあちこちで目撃することになる。大トリではなく、トップバッターを任されたことをMAHはぼやいていたが、この役割を果たせるのはやっぱりSiMだった。

セットリスト

1. Get Up, Get Up
2. Amy
3. TxHxC
4. WHO’S NEXT
5. KiLLiNG ME
6. The Sound of Breath
7. MAKE ME DEAD!
8. Blah Blah Blah
9. f.a.i.t.h

撮影=古渓一道 テキスト=阿刀“DA”大志