VIVA LA ROCK 2018

5.3 THU 12:20-13:00 STAR STAGE
sumika

「伝えたい」という想いの大合唱
sumikaが初出場のステージにかけた強い想い

5周年目のVIVA LA ROCK・1日目、STAR STAGEの二番手はsumikaだ。今回がVIVA LA ROCK初出演となる彼ら。気合十分に1曲目の“MAGIC”をプレイ。片岡健太(Vo&G)の初夏に吹き抜ける薫風のように爽やかな歌声と、キラキラとした多幸感に満ち溢れたサウンドが、まさに魔法のように美しい音楽の祝祭空間を立ち上げていく。“Lovers”ではピアノソロを弾く小川貴之(Key&Cho)の元に、片岡と黒田隼之介(G&Cho)、サポートの井嶋啓介(B)の三人が駆け寄り、肩を揉みつつ盛り上げる一幕もあった。ポップで、ジャジーで、ソウルで、パンキッシュで、それでいてどうしようもなくロックンロールー・ポピュラー・ミュージックだからこそできる、ごった煮の音楽の面白さを、生き生きとsumikaは体現していた。

「VIVA LA ROCK初出演です! なんで今まで呼んでくれなかったんだろう。恨んでいるぞ(笑)。冗談ですけど(笑)。VIVA LA ROCK、愛情がすごくて。楽屋に入ったら、このメモが置いてあったんです。最初は脅迫状かなって思ったんですが」と、主催者の鹿野淳から手紙と思われる手書きの文字がびっしりと書き込まれた紙をヒラヒラとさせる片岡。VIVA LA ROCKからsumikaへの熱烈なラブレターに会場からは大きな笑い声が起きる。

「これだけ愛情をかけてくれるVIVA LA ROCKに対してそれを返したいんです。新曲やってもよろしいですか? 新曲ぐらいしかできないんですけど、最大級の愛情を!」と、VIVA LA ROCKへの愛情を込めて演奏されたのは4月25日にリリースされたEP『Fiction e.p』からのナンバー“ペルソナ・プロムナード”。エレクトリックギターに持ち替えた片岡と黒田のギターサウンドが冴え渡る、ロックフェスという場に相応しい楽曲だ。

「まだまだいけますか? 不安だな。元気になるような呪文を持ってるんじゃないかな」と、オーディエンスを煽りつつプレイされた“ふっかつのじゅもん”。激しくかき鳴らされるギターリフを「待ってました」とばかりに激しく揺れるフロア。一気に会場のヴォルテージは高まっていく。「なんだ、ビバラ最高だよ!」と、黒田のギターソロに湧くオーディエンスを見つめながら満足そうにシャウトした片岡。暗転後には「VIVA LA 12万6千点」と、つぶやいた。VIVA LA ROCK、かなりのハイスコアを叩き出したようです。

小川のエレクトリック・ピアノと、荒井智之の小技の効いたドラムが熱を孕んだ夏の夜をソウルフルに描き出した“Summer Vacation”。昼下がりのSTAR STAGEに夜の気配が満ちていく。オーディエンスが心地よい音の波に体を任せるなか、楽曲の後半、荒井のクリス・デイヴさながらのハイハットさばきが、更に熱を高めていく。

「楽しんでいただけてますでしょうか? 来週からワンマンライヴツアーが始まるんです。フェスに出るアーティストって、本当はワンマンライヴを観て欲しいなって正直思ってる人たちも沢山いると思うんですけど。こういう手紙を見せられちゃうと、明日のこととか未来のこととかを考えていたら、今目の前にいるあなたに対してすごく失礼だと思うんです」と、先ほどの手紙をまた手元に持ちながら、このステージにかける思いを語った片岡。「明日がないと思って、今日、ここVIVA LA ROCKで。家に一人でいるよりも、ここに来ようと思った運命を選んだのは、僕もあなたも一緒です。出会った意味の答え合わせをしたいな、と思うんですが、力をお借りしてもいいですか? VIVA LA ROCKに愛を込めて。今日しかできないことをやろうぜ!」

最後に演奏されたのは“「伝言歌」”。sumikaの思いがそのまま歌になって広がっていくような、そんなあたたかさが会場を包んでいく。マイクから口を離し、オーディエンスと共に、生の歌声で奏でた合唱——「伝えたい」という、この歌に込めたsumikaの思いが、輝きを放っているかのような美しい光景がそこには広がっていた。「次に会える保証はないから、今日は会えて、そして出しきれて、見せきれてよかったです。sumikaでした」。万感の思いを持って、初出演にしてSTAR STAGEの二番手という大舞台を終えた、sumika。そのライヴは、まさにこの日にしかみられない、どこまでも眩しい輝きが宿っていた。

セットリスト

1. MAGIC
2. Lovers
3. ペルソナ・プロムナード
4. ふっかつのじゅもん
5. Summer Vacation
6. 「伝言歌」

撮影=古溪一道 テキスト=小田部仁