VIVA LA ROCK 2018

5.4 FRI 17:15-17:55 VIVA! STAGE
ヤバイTシャツ屋さん

ヤバT、完全復活。
規格外の熱気で伝説を作る

爆発的なライヴだった。こやまたくや(G&Vo)は「伝説作っていいですか!?」と叫んでいたけれど、居合わせた人にとっても今回のステージはきっと誰かに語りたくなる瞬間だったに違いない。

ビバラ3年連続出演となったヤバイTシャツ屋さん。開演前からVIVA! STAGEのフロアは後ろまでお客さんで密集し、今年から新設された上手の客席エリアも開放されてぎっしりと埋まる。エリアは入場規制だ。

そこで魅せてくれたのは、こやまの声帯の手術のために3月からライヴ活動を一時休止していたバンドの完全復活。高まるオーディエンスの期待に100%以上応えた、大熱狂の空間だった。

なにしろフロアの一体感がものすごい。1曲目の“あつまれ!パーティーピーポー”では<しゃっ!しゃっ!しゃ!しゃっ!しゃっ!> と、続く“Tank-top of the world”では<GO TO RIZAP!>と、集まった全員が拳をあげて叫ぶ。前方ではモッシュとダイヴが巻き起こる。“無線LANばり便利”では肩を組んでジャンプ。“L・O・V・Eタオル”では見渡すかぎりのタオルが振り回される。こやまとしばたありぼぼ(B&Vo)、もりもりもと(D&Cho)の3ピースのバンドサウンドは塊のようになってエネルギーを放ち、それにオーディエンスが全力で応える。

「喉の手術をしまして、めちゃくちゃ歌いやすいです!」と気持ちよさそうに叫んだこやまは、続いて「結成して5年、そろそろ緩急のあるライヴやりたいと思って。このへんでゆっくりした曲をやっていいですか」と“肩 have a good day”を披露。エモーショナルなメロディと<肩幅が広い人のほうが肩幅が狭い人よりも発言に説得力が増す>という歌詞を情感たっぷりに歌い上げるバラードだ。この曲がセットの中でとても効いていた。後半では演奏をとめ、こやまがマイクを握りしめ、拳を握りしめ、溜めに溜めて肩幅の狭さの悲哀を歌い、「でも歩幅は揃えていたい」と熱っぽく語る。一周回って笑える批評性と、さらにもう一周回って感動してしまう切実なメッセージ性を持った名曲だ。

こやまは「俺らはあっちのステージでやりたいと思ってます」とSTAR STAGEを指差し、「俺らをスターにしてもらっていいですか!?」と“ヤバみ”をプレイ。気迫をそのまま伝えてくるストレートにエネルギッシュな演奏を見せると、ラストは「この曲でむちゃくちゃになろうぜ!」と“ハッピーウェディング前ソング”。<キッス!キッス!キッス!/からの入籍!入籍!入籍!>と勢い任せに結婚を勧めるウェディングソングのこの曲で、汗まみれの幸福な熱気を作っていく。

笑えること、楽しいこと、あるあるネタ、そういうものを全部詰め込んだ批評眼の鋭さと突き抜けたユーモアから始まったヤバイTシャツ屋さんのバンドストーリー。この日のビバラでは、そんな強みを一切失わないままスターへの階段を登りつつある姿を目撃した。

セットリスト

1. 集まれ!パーティーピーポー
2. Tank-top of the world
3. 無線LANばり便利
4. L・O・V・Eタオル
5. Universal Serial Bus
6. 肩 have a good day
7. とりあえず噛む
8. ヤバみ
9. ハッピーウェディング前ソング

撮影=釘野孝宏 テキスト=柴 那典