KICK OFF VIVA!!! LIVE REPORT

KICK OFF VIVA!!!

KICK OFF VIVA!!!【北浦和KYARA編】

2017年11月12日(日)
ライブハウス北浦和KYARA

出演:Amelie / DOTAMA / ピエール中野(凛として時雨) / FINLANDS (※五十音順)
DJ アクト:石毛輝(lovefilm / Yap!!!) / 鹿野 淳

VIVA LA ROCKのキックオフイベント「KICK OFF VIVA!!!」。過去は単発で行われてきたこのパーティーだが、2018年のVIVA LA ROCKに向けてはカウントダウンパーティーとして計3回の開催を予定しており、その1回目「北浦和KYARA編」が2017年11月12日に開催された。

この「KYARA」はビバラのお膝元であるさいたま市の北浦和を代表するライヴハウスであり、the telephonesやドミコといったバンドを育て輩出してきたハコ。それこそthe telephonesメンバーはかつてKYARAで働いていたこともあるし、積極的に海外のバンドを招聘してきた歴史もあるなど、地元・さいたまにアクチュアルなロックカルチャーを根づかせ活性化するべく志を持ってずっと動き続けてきたライヴハウスだ。そんな場所からVIVA LA ROCK 2018へのスタートを切ることは、ビバラにとってとても幸福だし必然的な出来事だと言っていい。

トップバッターとして2018年への口火を切ったのは、Amelie。この日の出演者は埼玉やビバラとゆかりの深い面々がラインナップされていたのだが、中でもAmelieは埼玉県・越谷出身のバンドだ。「KICK OFF VIVA !!!は来年のビバラに向けてのキックオフパーティーなんだよね。ということは、みんなわかってる? 今このAmelieからVIVA LA ROCK 2018が始まるってこと!!」——そんなmickの力強い宣言と共に、ポジティヴなエネルギーを軽快にドライヴさせていくような、熱量の高いバンドサウンドがあっという間にフロアを巻き込んでいく。時に豪快にギターをかき鳴らし、時に繊細な情感をキーボードの旋律に託しながら自由に歌を放つmickと、そんな彼女の歌をどこまでも天高く突き抜けていくためのバネとなる、しなやかなパワーを持って打ち鳴らされるバンドのダイナミクスが観ていて気持ちいい。先日リリースされたばかりのシングルに収録されたよりポップな方向へと挑んだ新曲“step!”、“朝は来る”も交えながら、熱くエモーショナルなパフォーマンスで見事ビバラ2018への切込隊長の役を果たしていた。

KICK OFF VIVA!!! KICK OFF VIVA!!!

続いて登場したのはDOTAMA。2015年には、DOTAMAや泉まくらをはじめ気鋭アーティストを擁する埼玉拠点のインディレーベル「術ノ穴」の主宰でもあるトラックメイカーデュオFragmentと共に、VIVA LA ROCKのアフターパーティー「AFTER VIVA!!!」に出演したこともあるDOTAMA。この日ものっけから、アタックのクリアな発語から生まれるリズムと、卑屈ではあるんだけどポジティヴで痛快な後味を残すリリックの妙でオーディエンスの心を掻っ攫っていった。group inouのimaiによるファニーかつスタイリッシュなビートに乗って「アレ」をモチーフに上手くいかない生活を歌い飛ばす“Y☆KAI WATCH”や、理不尽に耐えつつ毎日頑張るすべての働きマンに捧ぐ“通勤ソングに栄光を”、さらに上司に対する怒り爆発&ちょっと過激な“リストラクション”など、身近なテーマに自虐も憤りも虚しさも情けなさも日々の悲喜こもごも全部ぶちまけ昇華していくような、そんなラップにフロアも心の底から大盛り上がり。力技でねじ伏せるのではなく時に知性とユーモアを感じさせ、“東北道”のような曲では真っ直ぐにその想いを乗せることも厭わないDOTAMAの個性を余すことなく味わえるステージだった。

KICK OFF VIVA!!! KICK OFF VIVA!!!

ちなみに各アクトの転換の最中は、2階のカフェエリアにて、出演者とVIVA LA ROCKプロデューサーである鹿野によるトークショーも行われた。3回にわたるトークタイムに登場したのはmick、ピエール中野、石毛輝。終始和やかな雰囲気の中、それぞれビバラとの関わりや想いを肩肘はることなくざっくばらんに話す距離感の近いトークライヴに観客も聞き入っていた。

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ライヴアクト3組目は、ピエール中野(凛として時雨)。言わずと知れた埼玉が誇る名ドラマーであり、VIVA LA ROCKには凛として時雨やDJとしての出演以外にも、「VIVA LA J-ROCK ANTHEMS」というビバラのためだけに結成されたスペシャル・カバーバンドのドラマーとして毎年参加してもらっており、とても繋がりが深いアーティストだ。この日はDJではなく、ドラマーとして本当にドラム1本のみでの勝負。音源を流しつつその場で生ドラムをプレイしていくというスタイルの、ドラマーの技を集中して堪能できる興味深いショウであると同時になかなかにシュールでもあるパフォーマンスでもあるわけだけど、その鮮やかな演奏力にどんどん惹きこまれていく。前半は“Telecastic fake show”や“abnormalize”といった時雨曲や大森靖子の“draw (A) drow”といった音源でも自身が叩いている楽曲を披露していったが、中盤、キュウソネコカミの“良いDJ”からは、DJ+ドラム生演奏みたいな趣でガッチリフロアを上げていく。“monkey discooooooo”では石毛輝が飛び入りして歌う一幕もあり、オーディエンスも大盛り上がり。中でも圧巻だったのは“どんぐりころころ”。誰もが知るこの童謡に「木から落ちて転がって池にハマるどんぐりの気持ちに立って」表現するドラムをつけるという、しかもそれが「千手観音」の異名をとるドラマー=ピエール中野の真骨頂みたいな乱れ打ちドラムで、ものすごかった。伊達にこの一人ドラムスタイルで47都道府県を回ってない、さすがというべきライヴだった。

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ライヴアクトの最後を飾ったのは、FINLANDS。前進バンドを経て2012年に結成されたヴォーカル&ギターの塩入冬湖とベース&コーラスのコシミズカヨのふたり組で、ドラムとギターにサポートメンバーを迎えた4人体制で活動をしているバンドだ。ライヴハウスシーンではこの1年ほどで着実に頭角を現し始めている存在だが、何よりも今年7月にリリースしたミニアルバム『LOVE』に惚れ込み、このKICK OFF VIVA!!!並びにVIVA LA ROCKへのオファーを行なったとのこと。体の底から湧き上がる想いや衝動と音楽を歌い鳴らさねばならない必然をきっちりとその歌と音塊に託し、迸るパッションの中にキラリと輝く光や繊細な心模様を映し出していく演奏が素晴らしく、おそらくこの日初めて観たという人も多かっただろうけれど、ライヴが進むにつれてはっきりとオーディエンスの心を掴んでいった。そのメロディからは確かなポップセンスを感じることができるが、それよりも彼女達の中にある「この歌・この音楽でなければ表せない何か」が鮮やかにその楽曲とその演奏に表れていて、それがダイレクトに心を打つのだ。ささくれ立った心を時にガンガンに燃やし解放し、時にすっと沁み入るように柔らかに包み込む塩入の歌声もとてもいい。最後には塩入がスピーカーの上によじ登り、完全燃焼してフィナーレを迎えた。

KICK OFF VIVA!!! KICK OFF VIVA!!!

ラストはthe telephones/lovefilm/Yap!!!の石毛輝によるDJで締め。埼玉出身、ビバラとは初年度からガッチリとタッグを組み、自身のバンドでのライヴ出演はもちろんのこと、各アクトが登場する際のジングルも毎年石毛が手がけているという、VIVA LA ROCKとは切っても切り離せないベストパートナー的存在でもある。この日のDJでも、1曲目には当日の朝に制作したという♪ビビビビビビビバラローック♪という声ネタも交えたマッシュアップを展開したり、石毛の個性が光るDJプレイでオーディエンスを自由に踊らせていた。最後はthe telephonesの“Love&DISCO”をかけながらの熱唱でフロアのシンガロングも引き起こし、幸福な大団円へと導いた。その余韻と興奮が冷めやらぬ中、フロアではどこよりも早くVIVA LA ROCK 2018の出演アーティスト第一弾発表が行われ、この日集まったオーディエンスに共有された。もちろんこの日出演したアーティスト達は皆出演決定。いよいよ来年のゴールデンウィーク、VIVA LA ROCK 2018に向けて、最高の形で走り出すことができたキックオフパーティーとなった。

KICK OFF VIVA!!! KICK OFF VIVA!!!

次回のKICK OFF VIVA!!!は2018年1月18日、LIQUIDROOM ebisuにて開催。楽しみに待っていて欲しい!

(有泉 智子)
撮影=音宿ごりら屋’さかな'

VIVA LA ROCK 2018