「一つになれる瞬間」がそこにあった
VIVA LA ROCK1日目、最初のヘッドライナーに登場したのはACIDMAN。記念すべきステージで、彼らはロックの生命力そのものを鳴らすような、見事なクライマックスを見せてくれた。
オープニングSEの“最後の国”に乗せて登場した大木伸夫 (Vo&G)、 佐藤雅俊 (B)、浦山一悟(Dr)の3人を、満場の手拍子が迎え入れる。“新世界”“アイソトープ”とアグレッシヴかつ深遠なACIDMANならではのロックを高らかに響かせると、オーディエンスも呼応して拳を上げ、歌い、飛び跳ねる。床が揺れる。
「埼玉でこんなに素晴らしいフェスができるのを、非常に嬉しく思います。鹿野さん、ならびに関係者の皆さん、本当に感謝してます。俺たちをトリにしてくれてありがとう。そして、最後まで残ってくれたみんな、本当にありがとう。二度と来ないこの一瞬、最高のものにしましょう」
と、大木。彼も、バンドも、埼玉県出身だ。結成15周年&デビュー10周年を迎えた2012年には、さいたまスーパーアリーナでワンマンライブも行っている。このフェスのヘッドライナーにはうってつけの存在と言っていいだろう。
“静と動”の二面性を軸に、様々な音楽性と曲調の幅を持つ彼らだが、この日は“ストロマトライト”、初期の代表曲“赤橙”、“FREE STAR”と、四つ打ちのキャッチーなナンバーを続けざまに披露。佐藤はベースを弾きながら笑顔でジャンプする。“アルケミスト”では3ピースとは思えないほどの壮大な音世界を響かせる。
後半は「全ては光でできているという歌です」と披露した新曲“EVERLIGHT”から、“ある証明”“飛光”と、彼ら流のロックアンセムを畳み掛ける。頂点に上り詰めていくような、クライマックスが続いていくような演奏を見せ、ステージを降りた。
そして、アンコールを求める拍手に応えて3人は再び登場。大木伸夫は、感極まった表情で、こんな話をした。
「いろんな人が、音楽で一つになるって、すごく素晴らしいことだと思う。俺たちは、一つになれる瞬間があれば、とても大事なことを思い出せて、知れるんじゃないかと思って、音楽を続けています。なぜなら、僕たちは何百億年も前、もともとは一つだったから。一つのことを感じるというのは奇跡だと思っています。音楽で、少しでもそれを鳴らせば、愛とか、希望とか、薄っぺらくなくなるんじゃないかと思っています」
そして、最後に演奏したのは“ALMA”。感動的な余韻に包まれて、VIVA LA ROCKの初日は幕を閉じた。
(柴 那典)
セットリスト
1.新世界
2.アイソトープ
3.ストロマトライト
4.赤橙
5.FREE STAR
6.アルケミスト
7.EVERLIGHT
8.ある証明
9.飛光
アンコール. ALMA