- 5.5 TUE 11:00-11:50 STAR STAGE
- クリープハイプ

変わらない曲の力と、
変わりつつあるバンドの今
「早くから、ありがとうございます。元気よく挨拶できればいいんですけど、そういうの上手くできなくて」
というのが、尾崎世界観(Vo&G)の第一声。「そういうのできないんで――」と繰り返しニヤリと笑ったかと思うと「おはようございます!」といきなり大声でシャウトして、ギターをガツンと鳴らして“社会の窓”。一筋縄ではいかなくて、ひねくれて、でも一周回って真っ直ぐなクリープハイプらしい幕開けだ。
ここまで2日間でガラガラに声を枯らしたフェスプロデューサー鹿野 淳の挨拶に続いて、VIVA LA ROCK 3日目のトップバッターとしてステージに登場した彼ら。見せてくれたのは、ステージとオーディエンスが一体感をもって熱気を高めていくというよりも、一人ひとりのリスナーに一対一で向き合って言葉と歌を届けるようなギターロック。昨年のアルバム『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』から、そして全国をホールツアーで回ってきたことからの、バンドのモードチェンジを感じさせる。長谷川カオナシ(B)、小泉拓(Dr)、小川幸慈(G)の演奏も、成熟と余裕を感じさせる。
“寝癖”に続いては「元気と体力があれば1日に何回もやることも可能ですが、1回目が一番気持ちいいと信じてます」と告げて、“エロ”へ。オレンジ色のライトでステージが染められた“オレンジ”、「夏の歌をうたいます」と披露した“ラブホテル”と、やるせなさやどうしようもなさ、綺麗事じゃ片づけられない愛や欲望の歌をハイトーンで解き放っていく。“かえるの唄”では長谷川カオナシが歌い、バンドのもう一つの側面を見せる。
“憂、燦々”に続いては、本日5月5日にリリースされたばかりの“愛の点滅”。焦ったり、待ちきれなかったり、足止めされたり、いろんな風に揺れ動く感情を、赤・青・黄色の信号に喩えて歌った曲だ。
MCでは、バンドのやる曲も、お客さんもたった一年で変わっていくと語り、「どうか、曲だけは忘れないで欲しいと思います」と言う。“百八円の恋”“ウワノソラ”と続け、ラストは“HE IS MINE”。「SEXしよう!」という大合唱を尾崎は笑顔で見渡す。
曲の持つ変わらない力と、変わりつつあるバンドの今を如実に示すステージ。中盤、ささやき声で「ありがとう」と告げた尾崎の声が印象的だった。
(柴那典)
セットリスト
1. 社会の窓
2. 寝癖
3. エロ
4. オレンジ
5. ラブホテル
6. かえるの唄
7. 憂、燦々
8. 愛の点滅
8. 百八円の恋
10. ウワノソラ
11. HE IS MINE