5.3 SUN 15:30-16:05 CAVE STAGE
FOLKS

豊かな表現力と圧倒的なクオリティ

登場の際、青白い照明に包まれたステージは、さながら北海道にあるアイスパビリオンのようだった。小さなライヴハウスのような設計のCAVE STAGEは、たちまち幻想的な空間へと様変わりし、ステージ上は気づけばもうFOLKSの世界だ。

ライヴは“CAPITAL MORNING”、“CARVE OUT”と、今年の2月にドロップされたミニアルバムからの選曲でスタート。オーロラのように波打ちフロアを漂っていく、重なり合った2本のギターと、まるで粉雪のように降り注ぐ繊細で儚いシンセのサウンドスケープ。さらに重力を無視してゆったりと広がっていく温かみのある岩井郁人(Vo&G)の伸びやかな歌を聴いてると、決して大きくはないこのCAVE STAGEの空間が、広大で無限のように思えてくるから不思議である。この立体的で奥行のある美しいサウンドデザインは結成当初からの彼らの武器だが、この日のライヴでも遺憾なく発揮し聴衆を惹きつける。

しかし、MCのインターバルを挟んでから鳴らし始めた“UNIVAS”からは空気が一変。不気味さを引き立てる怪しげな赤と青のスポットライトが入り乱れながら繰り広げられる、少しサイケな面持ちをした妖艶なリズムワークが披露されると、シンセなどの上音メインだった前半から、“River”や“Good-bye, friends”といった図太いキックの音やリズム隊のグルーヴが強調された後半へとなだれ込んでいく。セットリストのほとんどはミドルテンポの曲だったが、曲順の妙や演奏技術で様々な表情を見せつける実力はさすが。冗長な語りやキザなセリフは一切なく、互いに細やかな気遣いをしながら音を重ね合い、時に大胆に聴かせるバンドアンサンブルと曲そのもののクオリティだけで勝負する、硬派で男気溢れるライヴは実にカッコよかった。

(黒田隆太朗)

セットリスト

1. CAPITAL MORNING
2. CARVE OUT
3. Everything is Alone
4. UNIVAS
5. River
6. Good-bye, friends