5.4 MON 15:30-16:20 STAR STAGE
Ken Yokoyama

永遠のパンクヒーロー、ビバラに初降臨!

フェスに出演するアーティストは、大抵の場合、事前にセットリストを運営側に提出することになっているのだが、このバンドはそれに従うことが少ない。その日の気分、会場から感じる雰囲気、そういったものを自分達の中で咀嚼してから流れを考えるのである。レポートを書く側からするとたまったものではないのだけど、「まあ、Ken Yokoyamaだしね」のひと言で全てOKになってしまう。そんな男なのだ。

ステージの大きさに見合わない、小さなバックドロップと日の丸を誇らしげに背負い、彼が最初に歌い始めたのは“We Are Fuckin' One”。フロアに大きな日の丸がいくつも揺れる。続いては、“Let The Beat Carry On”。演奏の前に自分のマイクを客席に放り込み、それを手にしたキッズに「ゆっくり頭(最初の歌詞)を歌ってくれ!」とリクエスト。これにはフロアも驚きの声を上げる。しかし、これは単なるギミックではない。どうやったらお客さんとより一緒になれるのか、そんなことを考えた末のアイデアなのだ。そして、興奮気味のキッズがうわずった声でイントロを歌い出し、それに合わせてバンドが演奏し始めた瞬間、フロアは熱狂の渦に。そう、これはバンドと観客の音を通じたセックスのようなものなのだ。だって、最高に気持ちよかっただろ?

“Your Safe Rock”、“Walk”と代表曲を惜しみなく演奏した後、「アルバム録ったぜ!」とニューアルバムの録音終了を報告。そして、その新作から新曲を披露した。疾走感のある2ビートと8ビートが絡みあう、彼らしくもありつつ、これまでになかったタイプの佳曲。過去のどの作品とも異なるという新作への期待が高まる。

股間のイチモツの話など、いつものようにくだらない話で盛り上がった後は、“Punk Rock Dream”、“Running On The Winding Road”などのパンクアンセムを立て続けに演奏し、終わりへ向けて疾走する。ところで、彼が歌う曲の歌詞は全て英語である。震災後のパンクスについて歌った“Ricky Punks III”は、Ken Yokoyamaの曲の中でも特に歌詞が重要な曲で、横山もこの曲を披露する前に「レンタルしたり、ネットで探して」歌詞を読んで欲しいと話した。たしかに彼の言うとおりだけど、この曲に込められた想いは、歌から、バンドのアンサンブルから、皆に届いているはず。本当に素晴らしい歌は、言語を超越して直接心に響くんだ。あなたはそれを25年近くも続けてきたではないか。

最後は会場中が熱唱した“Believer”で締め。決してパンクスばかりが詰めかけたわけではないが、この日のSTAR STAGE、Ken Yokoyamaのライヴでは、彼の音楽がみんなをひとつにしたのだ。

(阿刀“DA”大志)

セットリスト

1. We Are Fuckin' One
2. Let The Beat Carry On
3. Your Safe Rock
4. Walk
5. 新曲
6. Save Us
7. Punk Rock Dream
8. I Love
9. Running On The Winding Road
10. Last Train Home
11. Ricky Punks III
12. Believer