- 5.5 TUE 14:50-15:30 VIVA! STAGE
- パスピエ

複雑だが難解にはならない
ライヴバンドとしての実力
ひとつ前のTHE ORAL CIGARETTESに続いて、こちらも昨年のCAVE STAGEからの昇格組であるパスピエ。とはいえ、すでに年末の日本武道館公演が決定するなど、その勢いは若手バンドの中でも随一であり、VIVA! STAGEが狭く感じられるようになるのも時間の問題か。
一曲目は成田ハネダ(Key)のピアノから始まり、徐々に楽器が折り重なっていくイントロが印象的な“贅沢ないいわけ”。甘く伸びやかな歌声を聴かせる大胡田なつき(Vo)をはじめ、ステージを広く使ってパフォーマンスをするメンバーの姿からは、たくさんの大舞台を踏み、余裕を身につけたことが感じられる。ニューウェイヴ色の強い“MATATABISTEP”では大胡田の振り付けに合わせてオーディエンスが一斉に踊り、続く“フィーバー”で早くもクライマックスのような盛り上がりを見せる。楽曲は複雑だが、決して難解ではない。ライヴではフィジカルな魅力もたっぷりだ。
ディレイがかったギターとグロッケンの組み合わせが空間的な広がりを感じさせる“とおりゃんせ”に続いては、成田のピアノに導かれた壮大なイントロから最新シングルの“トキノワ”へ。“チャイナタウン”にしてもそうだが、成田は歌メロはもちろん、イントロのメインフレーズをキャッチーに聴かせる手腕が素晴らしいと思う。その成田は「フェスはこれからみんなが発信する場所になると思う」と語り、このフェスや「MUSICA」と共に歩んでいきたいと決意を示した。
高揚感を誘うシンセをフィーチャーした“シネマ”では会場中が腕を振り上げて一体感が生まれ、ラストは鋭角的なカッティングと地を這うようなベースライン、推進力のあるドラムが一体となったライヴアンセム“S.S”。音楽の構造的な面白さをどこまでも追求しつつ、あくまでポップソングであろうとする楽曲の独自性は元から頭ひとつ抜けていたが、いつの間にかライヴバンドとしても一皮剥けていたようだ。凄いバンドになってきたな。
(金子厚武)
セットリスト
1. 贅沢ないいわけ
2. MATATABISTEP
3. フィーバー
4. チャイナタウン
5. とおりゃんせ
6. トキノワ
7. シネマ
8. S.S