5.3 SUN 17:50-18:30 VIVA! STAGE
ペトロールズ

夕暮れの中鳴り響いた
洗練極まるアンサンブル

徐々に薄暗くなり、照明が灯り始めたVIVA! STAGEにペトロールズが登場。長岡亮介(Vo&G)はVIVA LA J-ROCK ANTHEMSに続き、この日二度目のステージである。まずはドラムのカウントから“PROFILE”でスタート。3人の過不足ないミニマルなアンサンブルが紡ぎ出すグルーヴ、サビでの清涼感あるハーモニーなど、このバンドならではのポップスが非常に心地いい。ややジャズ寄りの“表現”にしても、大人のダンディズムを感じさせつつ、しっかりポップだし、柔らかな四つ打ちの“誰”もゆったりと体を揺らして楽しめる。やはり夜は大人の時間、もしくは遊び疲れた体にこの演奏は優しい。

こちらもアンサンブルの構築美が際立つ“アンバー”に続くのは“FUEL”で、この曲はミニマルな中にときおり現れるダイナミズムが肝。5曲を次々と演奏し、唯一のMCも「初めて見た人も多いと思うけど、これからもよろしくお願いします」と淡々としたもので、ラストは“雨”。ゆったりとした曲調ながら、サビでセンスよくキメを挟みつつ、ノイジーなギターソロへと傾れ込む終盤の流れが抜群だ。長岡の繊細かつソウルフルな歌声と滑らかなギターワーク、三浦淳悟(B)と河村俊秀(Dr)の2人が見事にコントロールするリズムの抑揚、どこを切っても洗練の極みといった感じである。

今日のVIVA! STAGE、残りはトリとクロージングアクトを残すのみとなったが、「フェスといえば盛り上がってなんぼ」という価値観からの転換を感じさせる、上質なポップスを奏でるバンドがここまで多かったという印象だ。中でも、ペトロールズは決して派手ではないかもしれないが、個々のプレイヤビリティやアレンジメントの巧みさ、メロディーラインの美しさはこの日屈指と言ってもいいと思う。さて、彼らのようなバンドがいずれはSTAR STAGEに立つ日が来るだろうか? VIVA LA ROCKの楽しみ方が、またひとつ増えた。

(金子厚武)

セットリスト

1. PROFILE
2. 表現
3. 誰
4. アンバー
5. FUEL
6. 雨