5.5 TUE 18:30-19:20 STAR STAGE
SPECIAL OTHERS

豊潤なグルーヴと
幸福感でつないだバトン

いよいよVIVA LA ROCKの3日間も終わりに近づいている。数々のバンドがロックを鳴らしてきたSTAR STAGEも、残すところはあと2組。登場したのは、インストバンドとして唯一このステージへの出演となるSPECIAL OTHERSだ。

芹澤 "REMI" 優真(Key)、柳下 "DAYO" 武史(G)、又吉 "SEGUN" 優也(B)、宮原 "TOYIN" 良太(Dr)の4人は、ステージに上がるとそのまま楽器を手にしてプレイを始める。気の利いた挨拶や力のこもったシャウトはなし。でも、4人が音を鳴らすだけで、その豊潤なグルーヴが徐々に会場に輪を広げていく。

人懐っこいメロディーで「♪ラララ」のコーラスが響き渡る“ORION”に始まり、“AIMS”ではステージ背後からの照明がステップを踏む沢山のオーディエンスの姿を浮かび上がらせる。“Laurentech”では芹澤のオルガンの音色、柳下のまろやかなギターが熱量を徐々に高め、最後には突進力あるビートを生み出す。

90年代のJ-POPにルーツを持つ4人が、ジャム・ロックに出会い、「踊れる」ということをキーワードにしながら、フェスの場で徐々に支持を広げてきたスペアザ。誰も拒まない音楽性で沢山のハッピーな瞬間を作り、キャリアを築いてきた彼らの音楽は、VIVA LA ROCKの場でも幸福な化学反応を生み出していた。

“IDOL”を終えて、この日唯一のMCでは芹澤と宮下が「今日はトリにthe telephonesが控えてるからね」「誰? いやあ、聞いたことないね」「あ、これ仲がいいからやってるヤツですよ? 事情知らない人が聞いたら単なる悪口に思われる(笑)」などと、なごやかに語り合う一幕も。付き合いの長いthe telephonesのことを「盟友」と語り、地元のフェスで特別なヘッドライナーをつとめるバンドに、彼らなりのやり方でエールを送っていた。

「楽しんでますか?」という問いかけに大きな声援で応えたオーディエンスに向け、ラストは“Good morning”。たくさんの笑顔を生み出していた。

筆者は以前彼らにインタビューしたことがあるのだが、「地元のお客さんに愛されるパン屋みたいなバンドでありたい」と語っていた言葉がとても印象的だった。生活の中で鳴り響く音楽を奏でる彼らの真価を感じたステージだった。

(柴那典)

セットリスト

1. ORION
2. AIMS
3. Laurentech
4. IDOL
5. Good Morning