- 5.5 TUE 15:30-16:05 CAVE STAGE
- the chef cooks me

無垢な音楽愛が描き出した、
極上のポップ宴
最終日もあっという間に折り返し地点、CAVE STAGEの5番手はthe chef cooks meだ。マイクスタンド前に直立し、下村亮介(Vo&Key)が大きく息を吸い込んで歌い始めた“流転する世界”で幕を開けると、伸びやかで雄大なサウンドスケープと包容力のあるメロディがじんわりとフロアに満ちていく。くるくると表情を変えていく展開、それに合わせてハンドクラップやステップを交えながら体を揺らしているお客さん達を観て、シモリョーも本当ににこやかだ。そんなシモリョーの表情を観て、お客さん達にも笑顔が伝播していく。曲そのもののポップネスと煌びやかさ、「音楽が楽しくて楽しくてしょうがない」という気持ち、それらが純度高く音となり、幸福なグルーヴを生み出していく。
「野外フェスはたくさんありますが、実は僕、屋内フェスが好きなんです。照明さん、全部暗くしてもらってもいいですか――」とシモリョーが話して会場が真っ暗になると、「こうすれば、誰がどこの誰かもわからなくなって、ただただ音楽だけを楽しめるんですよ」と続け、聴覚だけがやけに研ぎ澄まされた中で、音と戯れる楽しさだけが神々しく透けて見えるようだ。
「ah ah」というユニゾンコーラスが会場全体に広がった“適当な闇”、<ぐるぐる回る 今日もVIVA LA ROCKで>と歌詞を変えてフロアをさらに沸かせた“環状線は僕らを乗せて”などをプレイし、肩の力がスッと抜けた穏やかなフロウと直情的にバーストする瞬間を繰り返しながら雪崩れ込んだラストナンバー“song of sick”ではシモリョーがフロアへと降り、客と触れ合いながら大きな輪を作り出した。右手を指揮棒のように振りながら心から気持ちよさそうに歌う姿は、まるで音楽に恋をしてしまった少年のようでキラキラと輝いていた。
(矢島大地)
セットリスト
1. 流転する世界
2. 適当な闇
3. パスカル&エレクトス
4. 環状線は僕らを乗せて
5. キャンバスに幻を
6. PAINT IT BLUE
7. song of sick