5.28 SAT 19:10-20:00 VIVA! STAGE
Base Ball Bear

「すべてがいま変わってく すべてが始まる」
という予言

VIVA! STAGE初日のトリをつとめるのはBase Ball Bear。キャリアの大きなターニングポイントを迎え、大きく変わった姿を見せた、とても感動的なステージだった。

デビュー10周年、結成15周年という節目の年を迎えた彼ら。しかし3月に湯浅将平(Gt)が脱退。それでもバンドは止まることなく、サポートを迎えてツアーを駆け抜けてきた。3年連続となるVIVA LA ROCKへの出演は、ゲストに田渕ひさ子(toddle/LAMA)を迎えた編成での登場だ。

後ろまで埋まったフロアに、4人は序盤から力のこもった演奏を見せる。小出祐介(Vo&G)の鋭いギター・カッティングが映える“不思議な夜”から、関根史織(B)のベースがファンキーな躍動感で楽曲をぐいぐいと引っ張っていく“曖してる”、堀之内大介(Dr)の骨太なビートの上でシューゲイザー的な轟音が鳴り響く“short hair”と続ける。ギターロック、ファンク、ニューウェーブ、パンクと、いろんな音楽を自分達なりに吸収しながら「4人で鳴らせること」だけを一つのルールに貫いてきたバンドのフィジカルの強さを見せつける。

「今日は田渕ひさ子さんに来ていただいております」と、小出祐介はMCでゲストを紹介。「僕らが学生時代からずっと憧れ続けてきた人と一緒にできるなんて、夢のようです」と語る。
そして「憧れすぎて、好きすぎて、カバーできなかった曲をやろうと思います」と、NUMBER GIRLの名曲“透明少女”をカバー。嬉しいサプライズにオーディエンスは大きく沸く。Base Ball Bearバージョンの“透明少女”は、原曲に忠実な、だからこそ彼らの個性を強く示すような一曲だった。

後半は、MCを挟まずバンドの代表曲を畳み掛けるようにプレイしていく展開。“GIRL FRIEND”、“PERFECT BLUE”、“LOVE MATHEMATICS”、そしてブルージーなインタールードを挟み、ラストは“祭りのあと”。どの曲も初めて聴くようなフレッシュなものになっていた。一言でいうと、とてもハードコアになっていた。田渕ひさ子の金属的なギター・サウンドが全面的に鳴り響くことによって、明らかにバンドのフォーマットが刷新されていた。

「こんな感じのバンドになりました。今、新作も作ってまして。こないだ、いい曲ができたんで、テンションが上がってます」

アンコールで小出祐介はこう告げ、やはり格段にアンサンブルが生まれ変わった”changes”を歌った。その姿を見ているうちに、ふと気付く。

《changes さあ、変わってく さよなら 旧い自分
新現実 新しい何かが待ってる
changes さあ、変わってく 失うものもある
でもいいんです ひとつ頷き、駆け出す
さぁ、すべてがいま変わってく すべてが始まる》

8年前に書かれたこの曲の歌詞は、まるで今の彼らを導く予言のようだった。

(柴 那典)

セットリスト

1. 不思議な夜
2. 曖してる
3. short hair
4. 透明少女
5. GIRL FRIEND
6. PERFECT BLUE
7. LOVE MATHEMATICS
8. 祭りのあと
EN1. changes

撮影=古渓一道