5.28 SAT 11:15-11:50 CAVE STAGE
DAOKO

熱気と冷気、リアルとヴァーチャル――
そのすべてが溶け合うトリップ空間誕生!

穏やかながらエッジの効いたライヴで、CAVE STAGEトップバッターを務めたYogee New Wavesの後には、高校生の時からすでに数多くのクリエーターからの評価を獲得しながら、昨年メジャーデビューを果たしたDAOKOがビバラに初登場してくれた。あまりフェスに出演しないにも拘らず、大きな歓声で迎えられた彼女は、「みんなはビバラ楽しみにしてましたか?私はとっても楽しみにしていました」というシンプルな挨拶のあと、醒めたダウンテンポなビートの“かけてあげる”、“ミュージック”からライヴをスタート。お馴染の瑠璃色の衣装と所在なさげに揺らぐパープルなライト、その中で無機質に響くゆったりとしたリズムとウィスパーヴォイス、さらに時にマリオネットのようにも見える独特のダンスが溶け合うステージは、一瞬にしてミステリアスな空気が立ち込めた。早くも彼女のゾーンへ突入である。

そして広がりを持ったストリングスと、胸の内に隠した不安を煽るような挑発的なパーカッションが印象的な新曲“FASHION”からは、一気に最高の中盤戦へ突入。すでに彼女の代表曲になりつつある“水星”、この日のセットリストの中で各段にBPMの速いキャッチーな“きみ”と、出し惜しみなく畳みかける最高のセットを披露したステージは、10代という年齢に比してどこか大人びた空気のある彼女の独特の「色」が放出されるトリップ空間へと変質。若者のリアルな眼差しで綴られながらヴァーチャルな世界観も伴った楽曲や、エフェクトのかかった声で聴かせる寂寞感が沁み込んだポエトリーリーディングを前に、オーディエンスが自己の内面と向き合いながら静かに揺れる様は、このステージの至高の瞬間だった。曲毎に起こる歓声が現場の熱気を表し、それが彼女の楽曲が持つ冷やかなトラックとCAVE STAGEという密室的な空間に融合していく様は、静かな冷気と無数の個人が抱える侘しさが浮かび上がる、彼女だけの起こせるハイライトだった。

最後に“さみしいかみさま”、“ShibuyaK”という、ネット世界と現実の東京の「街」に蔓延する「孤独」を掬い上げ、昨年10月にリリースされたシングルを披露。35分という短い時間の中で、DAOKOという若き才媛の英知が遺憾なく発揮されたライヴは、妖艶な余韻と大きな歓声で幕を閉じた。

(黒田隆太朗)

セットリスト

1. かけてあげる
2. ミュージック
3. FASHION
4. 水星
5. きみ
6. さみしいかみさま
7. ShibuyaK

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)