5.29 SUN 14:30-15:05 CAVE STAGE

感覚ピエロ

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クルクルと表情を変えながら、
ストイックな音楽愛を響かせた真骨頂ライヴ！

前の3バンドの熱演がじっとりと汗ばむような熱気になって残っているCAVE STAGE。4番手として登場したのは、感覚ピエロだ。入場規制がかかったフロアにまずは“Japanese-Pop-Music”を投下すると、セクシーな4音の絡みと軽やかな四つ打ちに乗せ、前から後ろまでパーを掲げた観客が跳びまくる。音楽的には歌謡曲の香りが強い王道ポップソングなのだが、ナルシスティックな色気を持ったヴォーカルがクルクルと表情を変えることで、クセになる匂いと臭いが曲に宿るのがいい。続けた“メリーさん”では、唐突な絶叫なども交えながら、このバンドの捻くれた面を存分に発揮。それでも会場をグワーッと巻き込むシンガロングが一瞬も途切れないのは、思わず声に出してみたくなるワードをリズミカルに聴かせる歌の力に尽きるだろう。加えて、曲前のMCにズバリのタイミングでエフェクトがかかったり、ヴィジュアル系バンドのライヴかと錯覚するくらいのセクシーな声色で「I LOVE YOU」と観客に叫んで悦に浸ったり、「いろんなバンドがいる中で、感覚ピエロのライヴを選んでくれてありがとう」と真摯な想いを丁寧に語ったり――クルクルと表情を変えながら、まったく的を「絞らせない」ライヴで、それが面白い。

この日のハイライトは、横山が「そろそろ踊りたいですか？渾身の四つ打ちミュージックいきます」と言い放ってから投下された“A-Han!!”だろう。ダンサブルで性急なビートの曲だが、ただ高く跳ねるような「踊る」とは違う、体幹に染み入って体を揺らすような「踊る」が会場全体に伝播していった。一見すると歌のインパクトやその楽しさに目がいきがちだが、実は演奏自体は非常にストイック。そこから生まれるグルーヴがめちゃくちゃ心地いいのだ。これは横山の歌にも通ずるが、この、エロさというか、艶かしさというか、妖しさが感覚ピエロの音楽の「クセになる」部分なのだろう。

終盤、“リア充大爆発”、“O・P・P・A・I”の代表曲コンボでは、再び演奏をかき消すほどの大発声が生まれる。その光景を目にしてさらに感情を昂らせた横山が「いろんなバンドを押しのけて俺達を観に来てくれたあなたがいるこのステージを、俺は狭いとは思わない！」と叫ぶと、ラストナンバーはストレートなメッセージソング“拝啓、いつかの君へ”。巧みなライヴ運びで観客を巻き込みながら、音楽的な部分はひたすらストイック。その両面がきっちりと表現されたアクトだった。

（矢島大地）

セットリスト

1. Japanese-Pop-Music
2. メリーさん
3. A-Ham!!
4. リア充大爆発
5. O・P・P・A・I
6. 拝啓、いつかの君へ

撮影＝古渓一道