5.28 SAT 17:50-18:30 VIVA! STAGE
スガ シカオ

「20年に一度の奇跡」に向けて、
スガ シカオは攻め続ける

スガ シカオ、2年ぶりのVIVA LA ROCKへの出演は、はっきりと「攻め」の姿勢を示すステージだった。エグくて、貪欲で、だからこそポップであるという、彼自身の本質をむき出しで見せつけるようなものだった。

今年1月に6年ぶりのニューアルバム『THE LAST』をリリースしたスガシカオ。それは「最高傑作を作る」という、ここ数年にかけての彼の目標を形にしたものだった。それを引っさげての出演となる今回のステージは、アルバムで見せた彼の今のモードを見せるものになるだろう、と思っていた。

が、それだけじゃなかった。

ステージは、ギターがザクザクと刻む“赤い実”からスタート。続いては、どっしりとしたビートに不穏なフレーズが次々と繰り出されるニューアルバムからのナンバー“あなたひとりだけ幸せになることは許されないのよ”へ。“19才”は、ぐっとテンポを上げた扇情的なバージョンにチューンナップ。ニューアルバムからの“真夜中の虹”は、切迫感に満ちたエレクトロだ。ファンクでもなく、ロックでもなく、既存のジャンルの枠組みからハミ出す部分を抽出した「気持ち悪くて、気持ちいい」グルーヴを紡ぎだす。もちろんそれこそが最高なのだ。

「ここで重大、かつ大事な発表があります」

ステージの途中、MCでスガ シカオはこう話し始める。来年にデビュー20周年を迎えることを告げ、そして「2017年5月6日、20年に一度のミラクルフェス、『スガフェス!』を開催します!来年、最高のフェスをやりたいと思っています!」と声を上げる。来年のVIVA LA ROCKは5月3日~5日の3日間開催。つまりその翌日の2017年5月6日に、VIVA LA ROCKとのコラボレーション企画として、同じさいたまスーパーアリーナでスガ シカオ自らが主宰するフェスを行う、ということだ。驚きの告知に会場が沸く。

「これからも奇跡が起こるようにこの曲を歌います!」と“奇跡”を披露し、“コノユビトマレ”を続ける。どちらもかなり切迫感ある、エネルギッシュなアレンジだ。

ラストは「がつんと、明日へのエネルギーをみんなに注入して、終わりたいと思います」と語り、“Progress”。kōkua名義でNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』に提供した楽曲だ。こちらも、原曲に比べて格段に荒々しい演奏。スガシカオの歌声にも切実さのようなものが宿っている。

「20年に一度の奇跡」に向けて、スガ シカオは攻め続ける。この日のステージは、そのキックオフの意志を存分に感じられるものだった。

(柴 那典)

セットリスト

1. 赤い実
2. あなたひとりだけ幸せになることは許されないのよ
3. 19才
4. 真夜中の虹
5. 奇跡
6. コノユビトマレ
7. Progress

撮影=古渓一道