5.5 FRI 10:30-11:05 CAVE STAGE
Age Factory

野性を生き抜く獣が零した叙情と轟く咆哮。
孤独を貫く狂犬、その生き様に震撼する

「奈良県からきましたAge Factoryです。よろしくお願いします」。舌足らずに口にした清水エイスケ(Vo&G)のそんな言葉も、自身らが鳴らした“Seventeen”の轟音に搔き消されて霧散していく。最終日のCAVE STAGE、その開幕に登場したのは奈良が生んだ獣・Age Factory。2010年の結成以来、年間100本近いペースでライヴハウスを駆けずり回ってきたライヴハウスに生きる生粋のモンスターである。

「クソみたいな現状も俺達で破壊してやる。駆け抜けろ」(清水)という言葉から始まった“疾走”、続けて「今日集まったバンドの中で一番ヤバいライヴやっていきます。驚いて帰ってください」(清水)という自分達の音楽に対する圧倒的な自信を、舌が回らないまま狂ったように口にして突入した“Puke”。彼らの音源の中でも随一の劇薬で、終わらない夜の街を彷徨いながらマグマのような怒気を吐き出す1曲だ。そしてプレイヤーとしての3人の筋力はもはや「若手バンド」の域を優に超えており、不規則で強靭なアンサンブルを生み出しながら、社会のすべてにたてつくようなオルタナティヴロックを常軌を逸したテンションで鳴らしていく。また、その歌に宿る孤独が滲んだ叙情性は、何物にもすがることなく自身らの音だけに生きている男達だからこそ鳴らせる心情である。彼らが放つ自分自身の魂を灰にしていくような驚異的なまでの熱、その発汗量に気圧される。

そのテンションのまま語った「今裏ではヤバイTシャツ屋さんがやってますね。でも、ヤバTより俺達でしょ。100対0でしょ――それをわからせるために普段からバンドやってます」。「時代が川のように流れていきます。何もかもが意味のないように流れていきます。この時代に生まれました」というふたつのMCを挟んで始まった新曲“RIVER”。ここ1年の彼らの音源に顕著な、駆け抜けるようなスピード感を持った楽曲で、サビの<生きてゆけよ>がこれ以上ないくらいのオーラを纏って響く痛快な1曲だ。そして“Yellow”で畳みかけ、最後は「曲げずに生きる人が観に来てくれるような、どこまでもいけるようなロックバンドになろうと思います」という信念を残して、デビュー盤『手を振る』に収録されている“ロードショー”へ。<金曜夜には君と映画を/エンドロールが流れないように/続きを見に行こう>という終わりのフレーズは、バンドマンという死ぬまで終わらない宿命を歌ったようで胸を締めつけられた。

(黒田隆太朗)

セットリスト

1. Seventeen
2. 疾走
3. Puke
4. RIVER
5. Yellow
6. ロードショー

撮影=釘野孝宏