5.3 WED 10:30-11:05 VIVA! STAGE
Base Ball Bear

最強の助っ人を迎え入れ
新たな青春期を謳歌する3人の今

2017年のVIVA LA ROCK、VIVA! STAGEの幕開けを飾るのは初回から4年連続の出演となるBase Ball Bear(以下、ベボベ)。KANA-BOONやKEYTALKなど、「フェスロック」と括られることの多いバンドたちが、その枠には到底収まり切らない魅力を発揮するであろうこの日、彼らに先んじる形でこの国のロックフェスを盛り上げ、今また新たなフェイズに突入しつつあるベボベが同じ日に出演することは、とても意味があるように思う。

メンバーがステージに姿を現し、早速堀之内大介(Dr&Cho)がタオルマフラーを掲げてフロアを盛り上げると、ライヴは先月発表されたばかりの最新作『光源』に収録されている“すべては君のせいで”からスタート。昨年のビバラでは湯浅将平の突然の脱退に伴い、田渕ひさ子がサポートを務めていたが、今年その位置に立つのはKIRINJIなどで活躍する弓木英梨乃。昨年からロングツアーで行動を共にしているだけあり、すでにバンドとの呼吸はぴったりのようで、“changes”では下手の関根史織(B&Cho)と共にピョンピョンと飛び跳ねて演奏する姿が可愛らしい。しかし、弓木の最大の魅力はその見た目とは裏腹な男勝りのプレイであり、ギターソロではステージ前方に出てテクニカルな速弾きを披露するなど、もはや完全にバンドの新たな武器となっている印象だ。

小出祐介(Vo&G)が「今日のラインナップをザッと見たんですけど、たぶんギター一番上手いです」と弓木を紹介すると、続いても新作から、ディスコティックなベースラインが印象的な“逆バタフライ・エフェクト”へ。『光源』という作品は、3ピースとなったベボベが一からアンサンブルを再構築して作られた作品であり、前々作『C2』に続いてリズム主体のグルーヴミュージックが多く、この曲からもリズム隊の濃厚な絡みが伝わってくる。そのままビージーズの“ステイン・アライヴ”を思わせるイントロから始まる“十字架You and I”へと繋ぐと、爽やかな朝の光に包まれた会場が汗の滴るダンスフロアへと変貌していった。

弓木の小気味いいカッティングと、リズム隊による重心の低いグルーヴに乗って、小出がハンドマイクでラップを披露する“The Cut”によって会場のボルテージがさらにもう一段階上がり、ラストを締め括るのは“祭りのあと”。かつてのベボベらしいニューウェイヴ風味の4つ打ちダンスナンバーだが、今の4人がそれを新鮮に楽しんで演奏していることもよくわかる。『光源』の表向きのテーマは「2周目の青春」だったが、メンバーの脱退という最大のピンチを乗り越え、最強の助っ人を迎えた3人は、再び青春期のような新鮮な気持ちでステージに立っているに違いない。そんなことを感じさせる、実に清々しいパフォーマンスだった。

(金子厚武)

セットリスト

1. すべては君のせいで
2. changes
3. 逆バタフライ・エフェクト
4. 十字架You and I
5. The Cut
6. 祭りのあと

撮影=HayachiN