5.5 FRI 18:40-19:30 VIVA! STAGE
BIGMAMA

現メンバーになって10周年
愛するフェスで作り上げた祝祭空間

過去3年間のVIVA LA ROCKでSTAR STAGEに立ち続けてきたBIGMAMA。現メンバーになってから10年目という区切りの今年は、VIVA! STAGE3日間の大トリという大役を務めることに。「音楽で作る仮想現実」をテーマに掲げた新作『Fabula Fibula』を発表したばかりの彼らは、果たして数多くのアクトが熱演を繰り広げてきたVIVA! STAGEをどんな空間に変えてくれるのだろう?

一曲目を飾ったのはアルバムのキー曲でもある“MUTOPIA”。大バコ仕様のダンスミュージック的な色合いもある祝祭感たっぷりのこの曲で、VIVA! STAGEを早速BIGMAMA流の楽園に変えてみせる。金井政人(Vo&G)が「楽しむ準備はできてますか? メリーゴーランドで一緒に遊びませんか?」と呼びかけて始まった“Merry-Go-Round”では、安井英人(B)とリアド偉武(Dr)による扇動的なリズムに導かれるように、たくさんのオーディエンスが楽しそうに踊っている。

「VIVA LA ROCK最終日、VIVA! STAGEラスト、主催からは『BIGMAMAにしかできないドラマチックなフィナーレを』とオーダーをいただいてます。みんな声聴かせてよ!」と呼びかけ、会場中のコーラスと共に始まったのは“ファビュラ・フィビュラ”。ここまでとは一転、不穏な雰囲気の曲調がヤバい集会に迷い込んでしまったかのような緊迫感を感じさせつつ、勇壮なシンガロングに参加することで生まれる一体感はかなりのものだ。

疾走感たっぷりの“#DIV/0!”では東出真緒(Vi&Vo)のヴァイオリンが高らかに響き渡り、間奏では大量のリフトがフロア前方に生まれると、大サビで一斉にクラウドサーフが発生。開放感のあるサビメロが印象的な“Paper-craft”に続き、金井と柿沼広也(G&Vo)の掛け合いも聴き所の“神様も言う通りに”では<たった3秒あれば僕達は未来を変えて行ける>というサビをオーディエンスと共に大合唱し、会場中に笑顔が弾けていた。

「VIVA LA ROCKで一番最初に音を鳴らしたバンドご存知ですか?我々BIGMAMAでございます。つまり、我々が一番VIVA LA ROCKを愛しているということです。ここからクライマックスです。行けるか VIVA LA ROCK!」とフロアを煽ると、“荒狂曲"シンセカイ"”ではイントロから大量のモッシュと手拍子が巻き起こる。ただ、フロアを見ていると、決してみんなが同じ動きをしているというわけではない。“BLINKSTONEの真実を”では、手を振り上げる人、一緒に歌う人、肩を組んでサークルモッシュで盛り上がる人、それぞれが自由に空間を楽しんでいる。

“MUTOPIA”で生まれた楽園は、バンド側が提示したものだったかもしれない。しかし、同じライヴを多くのオーディエンスと一緒に体験することによって、そこにはバンドとオーディエンスとが共有するひとつの空間が作り上げられて行った。本編ラスト、“SPECIALS”で<we are the specials/僕らは“SPECIALS”>という大合唱は、まさにその場に居合わせた一人ひとりを祝福するものであり、これこそがまさに祝祭空間と呼べるものではないだろうか。

本編が終わると、フロア前方からは自然と“until the blouse is buttoned up”の合唱が巻き起こる。そこにメンバーが登場し、金井が「そのまま歌ってよ」とアコギを弾きながら語りかけると、その合唱が徐々に広がって行く。さらに、「一緒にひとつの景色を作りたいんです。タオルを上げて」と呼びかけると、無数のタオルが掲げられ、一部で起きていた合唱はいつのまにか会場中の大合唱へと変わっていた。こんなドラマチックなフィナーレ、BIGMAMA以外には作れないだろう。

(金子厚武)

セットリスト

1. MUTOPIA
2. Merry-Go-Round
3. ファビュラ・フィビュラ
4. #DIV/0!
5. Paper-craft
6. 神様も言う通りに
7. 荒狂曲"シンセカイ"
8. BLINKSTONEの真実を
9. SPECIALS
EN. until the blouse is buttoned up

撮影=HayachiN