5.4 THU 15:40-16:20 VIVA! STAGE
cero

今のceroが、一番カッコいい!
8人編成で魅せた鉄壁のアンサンブル

一昨年リリースしたサードアルバム『Obscure Ride』はブラックミュージックのエッセンスを咀嚼した上でceroとして肉体化しようと試みたアルバムだった。「これをライヴで演奏するにはフィジカルを実際に鍛えるところまでいかないといけないのかもしれない」と、アルバム発売時のインタヴューで笑いながら語っていた3人だったが、あながちその言葉も冗談ではなく、その証拠に“Yellow Magus”が『Obscure Ride』のアレンジで演奏されるまではしばらく待たなくてはならなかった。しかし、だからこそ、ツアーやライヴを通して『Obscure Ride』を地肉化して以降のceroは、間違いなくそれ以前の彼らとはひとつ次元の違うレベルへとアップデートされている。

彼らは2016年冬に行われた『MODERN STEPS TOUR』ツアーから、ライヴ編成を一新している。髙城晶平(Vo&G&Flute)、荒内佑(Key)、橋本翼(G&Cho)のメンバー3人と、以前より特殊サポーターとして参加している厚海義朗(B)、光永渉(D)に加え、小田朋美(Key)、角銅真実(Perc)、古川麦(Cho,&Trp)がジョイン。今年のVIVA LA ROCKにもこの8人編成で登場した。

鉄壁のアンサンブルとしか言いようのない安定感と、音楽的な愉楽に満ち満ちたアレンジ。『Obscure Ride』、そして昨年12月にリリースされたシングル『街の報せ』で描かれていたcero流の黄色く黒いサウンドが目の前で強靭なグルーヴで立ち上がっていく。“Summer Soul(interlude)”や“Yellow Magus (Obscure)”のシャウトなどに顕著だったが、髙城のヴォーカルが伸び伸びとしていたのも印象的だった。この日は“魚の骨 鳥の羽根”と“TWNKL”の2曲の新曲も披露された。日本人の土着のリズムを喚起するような“魚の骨 鳥の羽根”、そしてチルなサウンドが心地良い“TWNKL”(トゥインクル)は<I wanna have some shot with you>というフックのある歌詞が耳に残った。

最後に、8月に新木場スタジオコーストで行われる自主イベント「Traffic」を告知して去ったcero。きっと、そこでもさらに変化した姿を見せてくれるだろう。クリエイティヴィティに溢れ、かつ、実力もあるアーティストは変わり続けるのが常で、その変化はやはりファンにとって常に議論の対象になる。もはやそれは究極をいうと「好み」でしかないのだが、それが分かった上で敢えて声を大にして言いたい。今のceroがやっぱり一番カッコいい!と。

(小田部 仁)

セットリスト

1. Summer Soul(interlude)
2. ticktack
3. Yellow Magus(Obscure)
4. Elephant Ghost
5. 魚の骨 鳥の羽根
6. Orphans
7. TWNKL

撮影=HayachiN