5.4 THU 15:00-15:35 GARDEN STAGE
DADARAY

結成から間もない新バンドが提示した、
麗しくも儚いアダルトな「フェス空間」!

2日目のGARDEN STAGE、その最初のアクトに登場したのは休日課長(ゲスの極み乙女。)をリーダーとするスリーピースということでも大いに話題を呼んだDADARAY。「ごめん、間違ったもう1回やっていい?(笑)」というえつこのケアレスミスから始まったライヴだが、微笑ましい姿を見せたのはこれが最初で最後。徹底したプロ意識を感じさせるステージが始まった。

いきなり意表を突くアコースティックセットでスタートし、やり切れない慕情と色気を持ったミディアム“美しい仕打ち”はさらに繊細に、アグレッシヴなロックナンバー“block off”は、ジャジーなニュアンスを加味される形となって披露される。そしてまだその実態の多くが露わになっていないバンドであるが、恐らくこのフレキシブルなアレンジ力こそがこのバンドの個性であり、本質だろう。「既成の秩序や常識を破壊する光」という意味の造語を冠すこの新バンドは、シーンのトレンドはもちろん、自身らの楽曲の構造にも始めから縛られていないのだ。続く3曲目にも染み入るようなバラード“灯火”を演奏し、アダルトでミステリアスな空気を野外のステージに作っていった。

そのスタンスは“誰かがキスをした”、“Breeze in me”の2曲の新曲を歌い、ラストの“イキツクシ”までぶれることなく貫かれ、ライヴはしっとりした余韻をもたらす形で終演。自ずと楽曲のクオリティと彼らの志が引き立つステージだが、それを体現する3人のプレイヤビリティも白眉だ。そしてテンポをグッと抑えた楽曲群を揃え、テクニカルな演奏でひたすらサドネスを振り撒くセットリストは、彼らからのフェス文化に対する反旗だろう。MCも今音源(『DADAISM』)を出していること、これから5月31日に『DADAMAN』を、6月28日に『DADAX』をリリースし、ツアーに出ることを挨拶程度に語るのみ。

新しいバンドの新しい音楽、それを成熟した技術と歌声でオーディエンスに届けることだけにスポットを当てた潔いバンドの精神性が見える麗しいライヴだった。

(黒田隆太朗)

セットリスト

1. 美しい仕打ち(acoustic)
2. block off(acoustic)
3. 灯火
4. 誰かがキスをした
5. Breeze in me
6. イキツクシ

撮影=ヤオタケシ