5.4 THU 14:50-15:25 CAVE STAGE
D.A.N.

静かだが確かに燃えている
D.A.N.が踊らせる「今」

yahyelに続いて、入場規制のかかったCAVE STAGE。満員のオーディエンスが待ち構える中で登場したのはD.A.N.だ。昨年4月にリリースしたファーストアルバム『D.A.N.』が高い評価を獲得、たとえば「東京で一番盛り上がってるクールなバンドってなんだろうね?」という話題では今必ず名前が挙がるであろう3人組のバンドである。ライヴは小林うてな(St&Syn)がサポートとして参加し、4人編成で行っている。もちろん、今日もその編成だ。

この4月にリリースされたミニアルバム『TEMPEST』にも収録された“SSWB”から、ライヴはスタートした。元々D.A.N.はミニマルミュージックに対するシンパシーと美学を持つバンドであるのだが、『TEMPEST』ではその側面を思い切り推し進め、よりミニマルでリズム重視の音楽性へと発展。そんな今の彼らのモードを反映し、続いて演奏された初期の代表曲の一つである“Ghana”もよりビートを強調したアレンジに変化していたのが印象的だった。

今のD.A.N.の音楽は、楽曲構造やリズムに対する考え方自体はミニマルテクノやディープハウスからの影響が強いが、けれど彼らは、あくまで人間と人間が共に音を合わせ、その中から生まれていく有機的なリズムやアンサンブルにこだわるバンドであり、そこに自ずと宿ってくるグルーヴと世界観にこそ彼らのオリジナリティを見出しているバンドである。つまり、生粋のバンドなのだ。川上輝(Dr)の緻密なドラミングと市川仁也(B)のファンキーなベースによって生み出されるビートと、この半年で一気に色気を増した櫻木大悟(Vo&G&Syn)の歌声、それを様々に彩るギターやシンセ、スティールパンの音色がディープに艶やかに絡み合い、フロアを深く染め上げていく。

気づけばCAVE STAGEはダンスフロアとまごうばかりに自由に踊るオーディエンスで埋め尽くされていた。そこへラストスパートとばかりに“Dive”をドロップ。静謐な、けれど確かに内なる炎が燃え盛っているかのような演奏にさらに深く深く引き込まれていく。そしていよいよ最後の曲、“Tempest”へ。淡々としたミニマルな展開から後半のカオスへとオーディエンスを運ぶこの曲、その最後にフロアに放り投げられた櫻木の言葉にならない叫びは、ここから先に何か大きなことが起こりそうな予感と期待を強く抱かせた。

(小田部 仁)

セットリスト

1. SSWB
2. Ghana
3. Native Dancer
4. Dive
5. Tempest

撮影=釘野孝宏