5.3 WED 13:00-13:35 VIVA! STAGE
go!go!vanillas

闇を知る平成世代による
ロックフェスカルチャーの再構築

VIVA LA ROCKが初めて開催された2014年に、CAVE STAGE初日のトップバッターとして出演していたgo!go!vanillas(以下、バニラズ)。彼らはその後メジャーデビューを果たし、THE BAWDIESとのスプリットなどによってさらに名を上げると、今年のビバラではシーンのトップランナーの一員として、堂々VIVA! STAGEでの登場となった。

ELOの“Mr. Blue Sky”が流れる中でメンバーが登場し、牧達弥が「今日一番でっかい声を聴かせてくれ!」と呼びかけて“おはようカルチャー”が始まると、すぐに会場中がビッグなコーラスに包まれる。彼らのルーツにあるカントリーを現代にアップデートしたかのようなこのナンバーは、まさにロックフェスにぴったりのアンセムだ。続けて「この時代の闇に慣れてるのは俺達だ!」と宣言して新曲の“平成ペイン”を披露。“ヒンキーディンキーパーティ-クルー”ではジェットセイヤの叩き出す軽快なビートに乗って、フロントの3人が一斉にステージ上を駆け出し、フロアも一気にヒートアップしていく。

長谷川プリティ敬祐の「踊らせに来たぜ!」という言葉から始まったのは、ブレイクでのギターとベースのユニゾンからサビへと突き抜ける解放感が心地いいダンスナンバーの“エマ”。さらに「俺たちのロックンロールの魔法にかかってくれ!」と言って始まった“マジック”でも、メンバー4人が一体となってオーディエンスをグイグイと引っ張って行く。バニラズのライヴは常に激しいモッシュやダイヴの渦が起こるというわけではないが、ビートやコーラスによって生まれる一体感が抜群で、一瞬にしてその場にコミュニティが生まれるような感触がある。ラストは“カウンターアクション”で再度熱狂的なパーティー空間を作り出し、間奏で「今からめちゃくちゃすげえ光景作って、また来年帰ってきます」と宣言すると、「321、ゴー!」の合図でオーディエンスを一斉にジャンプさせ、その勢いのまま3年ぶりのビバラを駆け抜けて行った。

様々な手法を盛り込んでフロアを熱狂へと導く手腕は2010年代のロックフェスを駆け上がってきたバンドらしいが、彼らはあくまでルーツに根ざしたロックンロールを基調に、古き良き音楽の原風景のような共同体を作り上げる。それはまさに、平成生まれによるロックフェスというカルチャーの再構築だと言ってもいいかもしれない。

(金子厚武)

セットリスト

1. おはようカルチャー
2. 平成ペイン
3. ヒンキーディンキーパーティークルー
4. エマ
5. マジック
6. カウンターアクション

撮影=HayachiN