5.3 WED 19:30-20:30 STAR STAGE
KANA-BOON

出演4年目で掴んだ大舞台!
アンコールで4人が鳴らしたのはあの名曲だった

1年目にVIVA! STAGEのトリ、2年目と3年目にSTAR STAGE初日のトップバッターを務めてきたKANA-BOONが、遂にSTAR STAGEのトリを果たす時がやってきた。いや~、なんだかこの事実だけでもグッとくる。

そんな4人がオープニングに選んだのは“ないものねだり”。その後も“ワールド”~“盛者必衰の理、お断り”という人気曲の連打で、ワッショイ!エリアまでぎっしり埋め尽くした観客も両手を挙げて踊りまくる。

何も足さない、何も引かない、4人で鳴らすシンプルなギターロックでこの場所を彼らは勝ち取った。自分たちのソングライティング、バンドとしての在り方を信じてここまでやって来たんだ。堂々たる演奏姿からはそんなプライドが透けて見える。

最初のMCが面白かった。「調子はどうですか、ビバラロック! 調子はどうですか、飯田さん!」それに対し、コクリと頷く飯田(B&Cho)。彼のリアクションを受け、「元気で何よりでございます」と返す谷口(Vo&G)にフロアが沸く。

今日、誕生日を迎えた谷口による軽妙なバースデイトークのあとは、新曲“Fighter”をプレイ。照明が激しく明滅する中、骨太な演奏をじっくり聴かせ、そのまま“フルドライブ”へとつなげると、観客の熱狂はさらに高まり、フロアは混沌の度合いを深めていく。

「俺らのこれから先を案内してくれるような曲」という紹介に導かれて披露されたのは新曲“バトンロード”。その後は“シルエット”をプレイして本編は終了。メンバーが袖に引っ込むとすぐさまアンコールを求める拍手が場内に鳴り響き、バンドへの思いを託したスマホのライトが揺れた。

再びステージに姿を見せたメンバーを代表し、谷口が感謝の思いを口にする。「いろいろありましたけど、メンバーは友だちやし、家族みたいなものやし、60歳ぐらいまで一緒にやっていたいわけですよ。でも、聴いてくれる人がいないと成立しないものなので、みんながこうして待っててくれて、楽しんでくれて、本当に感謝してます」

そして、アンコール曲としてプレイされたのは“眠れぬ森の君のため”。谷口から曲名がコールされると、フロアからは驚き混じりの歓声が上がった。無理もない。これは単独ライヴで披露されることも少なく、ましてやフェスの場でお目にかかることなんてこれまでほとんどなかったであろう、KANA-BOON屈指の名曲なのだから。

 あの夜僕はフェスに出たいと話した
 あの夜僕はCDを出したいと言った
 あの夜君の事を歌った曲を書いた
 あの夜同じ景色を見たいと思った

こんなふうにはじまる歌詞は、元々は別れた彼女に向けられたものであると同時に、まだデビュー前だったKANA-BOONが未来への決意をしたためた楽曲でもある。その曲を、今日この場所で4人は、彼らをずっと見守ってきたビバラに、そして彼らを支えてきたファンへの感謝の歌として、そしてまたここから歩き出していくための歌として鳴らしていた。この曲を書いたとき、まさかこんなふうに披露することになるとは曲を書いた谷口自身も想像していなかっただろう。だから音楽は面白い。だからバンドは面白いんだ。この曲の演奏前、谷口はこう言った。「またイチからKANA-BOONとして頑張っていきます」と。初日のクロージングに相応しい、心温まるライヴだった。

(阿刀“DA”大志)

セットリスト

1. ないものねだり
2. ワールド
3. 盛者必衰の理、お断り
4. Fighter
5. フルドライブ
6. MUSiC
7. さくらのうた
8. バトンロード
9. シルエット
EN. 眠れぬ森の君のため

撮影=古渓一道