5.4 THU 11:35-12:10 CAVE STAGE
mol-74

音楽とライヴへの真摯な想い
飛躍を予感させる美しきメロディと歌声

まだまだDENIMSの熱気の余韻が残るステージに登場したのはmol-74。細かく刻まれるリズム隊の音に続き、ピアノの音色がゆっくりと空間を彩りながらライヴがスタート。1曲目は“エイプリル”だ。決して主張し過ぎないシンプルな演奏は透明感溢れる武市和希(Vo&G& Key)の歌声の美しさを一層際立たせ、CAVE STAGE全体を春色に染める。続く幻想的な“グレイッシュ”では、美しいファルセットヴォイスをここぞとばかりに披露し、まるで夢の中へと誘われるかのように、観客はうっとりと楽曲の描き出す世界へと入り込んでいく。

会場全体がしっかりとmol-74の世界に浸ったところで、ひとつ大きな見せ場がやってきた。まもなくリリースされる新作『colors』の中でも屈指の美しさを誇る“hazel”を披露したのだ。ピアノ主体のサウンドに囁くように優しい武市の歌声が乗り、フロアの奥まで満たしていく。美しいファルセットが高まりを見せるサビでは<あなたがくれた私の生きる意味が私の中で生きてる ありがとう>と観客一人ひとりに語りかけるように歌っていたのだが、それはまるでmol-74が音楽を鳴らすことの意味を再確認し、そして感謝を伝えているかのような、非常に感動的な光景。「僕らはまだまだ無名かもしれないけど、今日も出演している大好きな先輩達に負けないようなライヴをします」。そんなMCを挟む頃にはCAVE STAGE後方まで身動きが取れないほど多くの観客が詰め掛け、彼らの演奏を一目見ようとステージに熱い視線を送っていた。

そんなフロアの期待に応えるかのように、軽快なアコースティックギターとドラムビートが空間を一気に明るく照らし出す。“%”の始まりだ。バンドの演奏に合わせて、フロア後方まで大きな手拍子が起こり、爽快なサビまで一気に駆け抜ける。快感。最後は『colors』でも最終曲となっている“tears”をエモーショナルに歌い上げ、フィナーレを迎えた。

MCをほとんど挟まず、限られた時間の中で、純粋な歌と演奏の魅力を余すところなく見せてくれたmol-74。音楽をこよなく愛し、楽曲でリスナーに応えていくという、真摯でポジティヴなオーラを彼らのライヴでしっかり感じ取ることができた。その想いの共有の輪は、今後ますます大きなものに広がっていくことだろう。

(信太卓実)

セットリスト

1. エイプリル
2. グレイッシュ
3. hazel
4. %
5. tears

撮影=釘野孝宏