5.5 FRI 11:05-11:45 STAR STAGE
My Hair is Bad

STARで放出されるマイヘアの激情に、
我々はただ呆然と立ち尽くすしかなかった

昨年、CAVE STAGEでビバラ初登場を果たしたMy Hair is Badが、今年は一気にSTARへ昇格。この1年で彼らがいかに成長し、広く認知されるようになったのかがよくわかる。

「VIVA LA ROCK、おはようございます!」までは聞き取れた。その後の自己紹介は椎木知仁(Vo&Gt)のしゃがれた声と高まる興奮のせいで、もはやただの絶叫となり、それがそのまま演奏の合図となった。

“アフターアワー”と“告白”を挨拶代わりに披露した後、「この時間にここに来たこと、絶対後悔させません」という宣言とともに椎木は“ドラマみたいだ”を歌い出す。この曲や、今日はやらなかったが“戦争を知らない大人たち”などで聴くことができるフォーク調の節回しは椎木の歌の魅力のひとつ。それは時に彼の独白であり、時にこちらへの訴えであり、巧みに織り交ぜるアドリブと相まってグッと胸にせまる。こちらが身動きできずにいる不意をついて、山本大樹(B)と山田淳(Dr)が加わりバンドインする瞬間、ステージもフロアも感情が爆発した。

セットリストは新旧の代表曲をまんべんなくフォローしている。パフォーマンスも含めて、「これで好きにならないなら縁がなかったということですね」とクールに言い切れるほどの熱演が続く。3ピースというバンドにおける一般的な最小編成において、ギター、ベース、ドラムによる息の合った演奏が求められるが、フリーに歌う椎木に対し、どっしり構える山本と山田によるリズム隊が頼もしい。

「ここにいる全員が鹿野さんです!」という椎木の迷言のあとにプレイした“フロムナウオン”は圧巻だった。手がたくさん挙がれば、サークルピットが生まれれば、ダイバーが続出すれば、ロックバンドのライヴは盛り上がっていることになるのか。決してそうではないことを彼らはこの曲で証明した。絶叫する椎木の独白に、バンドの演奏に、観客はただじっと耳を傾けることしかできなかった。しかし、皆のハートは興奮と感動で打ち震えていたはず。ここでその内容を書き起こすのは野暮ってもんだろう。ここでしか、この瞬間にしか受け止めることのできない想いを、音の塊を、我々は体全体でどストレートに受け止めたのである。朝イチからこれはキツいぜ、マイヘアよ。ありがとう。

(阿刀“DA”大志)

セットリスト

1. アフターアワー
2. 告白
3. ドラマみたいだ
4. 真赤
5. クリサンセマム
6. 元彼氏として
7. 音楽家になりたくて
8. フロムナウオン
9. 夏が過ぎてく

撮影=古渓一道