5.3 WED 12:15-12:50 CAVE STAGE
パノラマパナマタウン

野心も意地も理想もロックの楽しみ方も体現。
新世代のカオス&リバティはここにある!

彼らの音楽のすべてが覚悟を内に背負ったリスナーへの挑発であり、既存の概念に対する挑戦である。本当にカッコいいものを提示しようという気概に満ちた表情で、4人が互いの音を不規則に絡ませながら“MOMO”でスタート。岩渕想太(Vo&G)による「よろしく」という簡素な挨拶にはニヒルな色気が備わっており、Arctic Monkeysさながらに言葉を投射していくオルタナ・ガレージで色めく刺激を振りまいていく。初出場を果たした昨年と同じステージだが、人間として一回り大きくなって帰還したような印象を与えるパフォーマンスである。

“シェルター”を終えると、6月リリースの新作『Hello Chaos!!!!』に収録される新曲“エンターテイネント”へ。岩渕の持つ言語感覚とテンポ感がスカのリズムに結びついた軽やかな新境地であり、ダブ気味なアレンジを挟みながら、<プロバガンダより中身じゃない?>という核心を突く宣誓が小気味よく軽快な演奏に乗って耳に突き刺さる1曲である。そしてここからは“PPT”、“リバティーリバティー”と立て続けに新曲を連打。「相当ヤバいステージにしたいんですがどうですか!!」と投げかけながら、自らのアイデンティティを語る前者も、<教科書なんていらないでしょ>と自分達だけの価値観をヒップホップ調の歌を交えながら訴えていく後者も、会場のヴォルテージを上げていくのに確かな効果を発揮。何よりこの3曲の流れは、様々な音楽性を交えながらロックバンドとしての意気を注ぎ込み、グルーヴィなアンサンブルで横揺れと縦揺れの快感を巧みに手繰る彼らの真骨頂だろう。それは自身らが目指し掲げる、音楽という自由の体現なのだ。まるで音楽の楽しみ方を提示する笑顔を向けるような、表情豊かなアンサンブルが実に爽快だ。

「いつ世界が最後になっていいようにこの歌を歌おう」という言葉を添えて歌った“世界最後になる歌は”で、岩渕がアジテーターとしての顔も見せつつ「来年はここよりデカいステージで会いたい。俺らまだまだデカくなるんで」という約束を投げかけた後、ラストの “odyssey”へ。儚げな空気と新しい日常へのささやかな期待が同居するメロウな1曲は、本当に彼らをより大きなステージへと運んでいく船となるような手応えとスケールを感じさせた。フェスという不特定多数なオーディエンスを相手にしながら、セットリストの半数以上をこれからリリースとなる新曲で構成。「最新が最高」という自信、もっと上に行くんだという野心、何者にも縛られることのない自由への意志を4人で誠心誠意打ち鳴らしていった。

(黒田隆太朗)

セットリスト

1. MOMO
2. シェルター
3. エンターテイネント
4. PPT
5. リバティーリバティー
6. 世界最後になる歌は
7. odyssey

撮影=釘野孝宏