5.4 THU 16:20-17:10 STAR STAGE
Suchmos

2017年の最重要バンドが
STARで見せた圧巻のパフォーマンス

ここ5〜10年のロックフェス常連バンドに混ざって、新しい世代のバンドが数多く並ぶこの日のラインナップは、その中心となるSuchmosの急速なブレイクなしには成り立たなかったはずだ。昨年はCAVE STAGEのトリを飾っていたが、今年は飛び級で堂々STAR STAGEに登場。フロアには数多くのオーディエンスが詰めかけていて、期待値の高さを伺わせる。

1曲目はアルバム『THE KIDS』でもオープニングを飾っていた“A.G.I.T.”。TAIKING(G)のファズギターが広い会場に響き渡るイントロに始まり、前半はじっくりとグルーヴを紡いでいくが、高揚感を生むサイケデリックな中間部を過ぎるとビートがグッと勢いを増し、YONCE(Vo)は胸を叩きながら“A.G.I.T. ”のフレーズを力を込めて繰り返す。

「Turn on the Radio!」という声と共に始まったのは、彼らの存在を世に知らしめた“STAY TUNE”!決して音圧で押すタイプの曲ではないし、BPMが速いわけでも、シンプルな4つ打ちの曲というわけでもないが、HSU(B)のグルーヴィーなベースを軸とした軽快な曲によって、ものすごい数のオーディエンスが自由に体を揺らす光景は日本のロックフェスの歴史が更新されつつあるのを感じさせるに十分なものだった。

KCEE(DJ)のスクラッチから始まった“YMM”ではサビで一斉にオーディエンスの手が上がり、間奏では自然とクラップが巻き起こる。Suchmosは先日アルバムのリリースツアーを終えたばかりで、YONCEのフロントマンとしての力量も大幅にアップ。細かい仕草がいちいち様になっていて、大型のビジョンに映し出される表情も精悍でありセクシーだ。

「みんな地元好き?今日からもっと好きになろう」と呼びかけて披露された彼らの地元の歌“PINKVIBES”では、サビで腕を細かく振り、「makes you peace」とフロアを指差し、間奏では細かなステップで踊ったり、その場に座ってみたりと、YONCE自身が「ライヴの楽しみ方は自由」ということを体現していく。やはり、彼のやんちゃなキャラクターはバンドに欠かせない。

「大宮アルディージャ戦、新加入選手を紹介します」とサッカーに例えて紹介されたのは、新曲の“WIPER(新曲)”。OK(Dr)による現代ジャズ的なつんのめるビート、TAIHEI(Key)のトランシーなシンセと、聴かせどころ盛りだくさんな有望新人に続いては、「Are You Ready?Time To Rock’n’Roll!」というシャウトから“DUMBO”へ。YONCEのロック魂が炸裂するこの曲では、ロングブレイクを挟んで、TAIKINGがフライングVをノイジーにかき鳴らすと、火に油を注いだかのような盛り上がりに。

ラストは“GAGA”で再びサイケデリックなダンス空間を作り上げ、会場中をがっつりと揺らしてみせた。彼らはかねてより目標として「横浜スタジアムでのワンマン」を掲げているが、その目標をはっきりと視界に捉える、そんなライヴだったのではないだろうか。

(金子厚武)

セットリスト

1. A.G.I.T.
2. STAY TUNE
3. YMM
4. PINKVIBES
5. WIPER(新曲)
6. DUMBO
7. GAGA

撮影=古渓一道