5.5 FRI 17:50-18:40 STAR STAGE
UVERworld

過酷な現実から目を背けず奇跡を歌う
最高のライヴを体現したUVERworld

STAR STAGEも残すところ、あと2バンド。満を持して姿を現したのはビバラ初登場となるUVERworldだ。真太郎(Dr)の激しいドラムソロから、1曲目の“7th Trigger”へ。この3日間観たアクトの中でも屈指の盛り上がりを見せるフロア。どこにそんな体力が残っていたんだと、言いたくなるほどの激しさである。

誠果(Sax)のサックスが夜を切り裂くように鳴り響き始まった“ナノ・セカンド”。「たった50分、たった3000秒」という持ち時間の中で最大限の爪痕を残そうと、がむしゃらに突っ走っていく。トライバルなビートが鳴る “WE ARE GO”では炎が噴き出し、TAKUYA∞(Vo)の熱い言葉の数々を熱風に乗せて観客に向かって送り出していく。そして、UVERworldの攻撃的な姿勢が表れた“誰が言った”が続けてプレイされる。

VIVA LA ROCKプロデューサー鹿野 淳に紹介動画の中で名前の読み方を間違えられていたと語るTAKUYA∞。「ずっとむげんだいって言ってるんだ(笑)」と笑う。そして自分たちが滋賀県で結成されたバンドであること、何もなかったからこそ実力を研鑽することができたということ、無限の可能性を信じて「∞」と自らを名付けたことを語る。そんな話を経て披露されたのは“ALL ALONE”。サウダージなギターが情熱的なミクスチャーロックだ。

奇跡を信じて祈り続けることを歌にしたTAKUYA∞の思想が如実に出た一曲の“PRAYING RUN”。UVERworldが使い捨てのメッセージソングと異なるのは、不平等はある、夢が叶わないこともある、そんな不条理な現実から目を背けず、しかし、奇跡もまた存在するということを歌っているからだ。

「一番熱い瞬間を迎えに行こうぜ。誰も見たことのないVIVA LA ROCKに行こう!」。まさにその言葉通りオーディエンスとバンドの演奏が一つの塊となって、異世界への扉を開くような力に溢れたパフォーマンスをみせた“IMPACT”が後半戦の幕開けを告げる。

実は、今年のVIVA LA ROCKではUVERworldが欠かせない役割を果たしている。ロゴを担当したAZIはTAKUYA∞の紹介によるもの。「長い月日を過ごしてきて俺には大切な仲間ができた。俺は仲間と一緒に輝きたいんだ」。そう言ってドロップされたのは“LONE WOLF”。お互いを尊重する仲間であるからこそ一匹狼として対等でいたい。UVERworldは、そんな一匹狼たちがひととき集う居場所なのだろう。

最後に演奏されたのは“一滴の影響”。 TAKUYA∞が曲名を述べた途端、大きな歓声が巻き起こる。「俺たちはまだまだ先に行きたいんだ。一滴一滴の汗が前に進ませてくれると思っているんだ!」。UVERworldとオーディエンスが共に過ごした「たった50分、たった3000秒」は、確かにVIVA LA ROCKの歴史に決して消えない刻印として刻まれた。

(小田部 仁)

セットリスト

1. 7th Trigger
2. ナノ・セカンド
3. WE ARE GO
4. 誰が言った
5. ALL ALONE
6. PRAYING RUN
7. 零HERE
8. IMPACT
9. LONE WOLF
10. 一滴の影響

撮影=古渓一道