5.5 FRI 10:30-11:05 VIVA! STAGE
ヤバイTシャツ屋さん

ヤバい3人がVIVA! STAGEを制圧!
野望と希望に満ちたヤバTの未来

VIVA LA ROCK 2017最終日、VIVA! STAGEのトップバッターを飾ったのはヤバイTシャツ屋さん。昨年11月にリリースされたアルバム『We love Tank-top』の冒頭でもミュージカル調の表題曲でリスナーを脱力させたヤバTだったが、この日のライヴも「はじまるよぉ〜」という、かなりユルいSEと共に飛び跳ねながら入場してきた。これは、楽しいライヴにならないわけがない。

案の定、1曲目の“Tank-top of the world”からフロアは大盛り上がり。仁王立しながらギターを掻き毟るこやまたくや(G&Vo)、ステージを所狭しと駆け回るしばたありぼぼ(B&Vo)、そしてバンドをしっかりと裏支えするもりもりもと(D&Cho)のビートが渾然一体となって、とてつもないエネルギーでVIVA! STAGEを激しく揺らしていく。

「この間、さいたまスーパーアリーナでライヴやりました、ヤバイTシャツ屋さんです!」(こやま)、「いや、それWANIMA!」(しばた)——何しろこのバンド、MCにおけるボケとツッコミの応酬がすごいんです。各々のプレイが音の塊となってぶつかってくるような演奏のグルーヴにしてもそうだが、実は3人頭が見えないケーブルで繋がっているのではないかと思うほど、お互いに対する反応速度が速い。

ヤバTといえば、“喜志駅周辺なんもない”など、もはや曲名というよりは説明やコメントに近い人を食ったような曲のタイトルがシグネチャーになっているところがある。実際、ライヴにおいても“L・O・V・E タオル”では観客にタオルをぐるぐると廻させ、“メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲”ではライヴにおけるメロコアバンドのあるあるパフォーマンスをそのままやって見せたりもする。それはクレバーな批評眼や社会を切る姿勢によるものというよりも(もちろん、その批評眼あってこそ、ではあるのだけど)、「これって本当に楽しいよね〜」「これって本当に笑えるよね〜」というポジティヴな意識のシェアが根底にあるように感じる。とはいえ笑って油断しているといきなり青春感たっぷりの切ないコードが響いたりして、そのあまりのエモーショナルに軽く泣かされそうになるから気が抜けない。笑いのツボ、泣きのツボ、「そうそう!」とうなづきたくなるツボを、とにかく端から押さえていくのだ。

タワーレコード限定でリリースされたシングル『そこまでレアじゃない』に収録されたNHKの子ども番組『おかあさんといっしょ』のかつてのエンディングテーマである“スプラッピ スプラッパ”をメロコアアレンジで披露。「虹のゲートってあるじゃないですか?『おかあさんといっしょ』で子どもたちがやってたやつ、あれはサークルモッシュなんで。サークル作ってください!」という、こやまの言葉に応えて、会場の至る所で暴れまわるキッズたち。それだけでは飽き足らず、VIVA LA ROCKのプロデューサーである鹿野 淳とMUSICA編集長の有泉智子の名前を上げ、「ヤバイTシャツ屋さんをMUSICAの表紙にしてあげてください!」と、有り体な要求をコール&レスポンス。もう、VIVA! STAGEは、ヤバTの牙城である。

「行けんのか、ってよくミュージシャン言うけど、あれどこに行こうとしてるのかな」(こやま)、「STAR STAGEちゃう?」(しばた)という何気に熱いやりとりに湧く会場。最後に披露された “あつまれ!パーティーピーポー”ではダイヴやモッシュするキッズたちが続出。あまりにもポジティヴなヴァイヴスに溢れていた、ヤバイTシャツ屋さんのVIVA! STAGE。楽しいことは、何よりも人の背中を押してくれる――彼らの「これから」から目が離せない。

(小田部 仁)

セットリスト

1. Tank-top of the world
2. 喜志駅周辺なんもない
3. L・O・V・E タオル
4. ヤバみ
5. ウェイウェイ大学生
6. メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
7. スプラッピ スプラッパ
8. 無線LANばり便利
9. あつまれ!パーティーピーポー

撮影=HayachiN