- 5.5 SAT 19:35-20:35 STAR STAGE
- 10-FEET
その音と言葉と生き様が2万4千人をひとつに
ビバラ2018が迎えた幸せな結末
ビバラの大トリのバトンが初めて10-FEETへと渡された。3日間最後のステージに3人が向かうのだ。お馴染みの『ドラクエ』のエンディングテーマがいつもより味わい深く聞こえる。
パンク／ロックシーンで確固たる地位を築いた10-FEETだが、彼らの実力はいまだに高まる一方だし、人気もまだまだ伸びている。とんでもないモンスターバンドになってしまった。フロアもスタンドも“1 size FITS ALL”からすさまじい盛り上がりである。“RIVER”で起こる大合唱や突き上げられる無数の拳に、TAKUMA（Vo＆G）は「いいね」「すごいな」「今日はみんなめっちゃノリええやーん」と驚いてみせる。試しに呼びかけてみたウェーブも一体感が半端ない。これまでにビバラで見てきた10-FEETのライヴのなかで間違いなく一番の盛り上がりだ。
「やばい、めちゃくちゃ楽しい」とTAKUMA。なぜか藤井フミヤ“TRUE LOVE”を１番丸々歌い切るKOUICHI（Dr）。なんだこれ？ しかし、このあとに続く“夢の泥舟”のメロウな歌い出しへのいいブリッジになってるんだから面白い。今日は何をやっても上手くいく、そんな空気が漂っている。
さらに、最新アルバム『Fin』という新たな相棒を手に入れた今、セットリストにも新鮮な風が流れ、“Fin”、“夢の泥舟”、“太陽4号”といったスロー～ミドルな楽曲が非常にいいアクセントとなっている。大きなうねりを生み、より豊かなショーへと進化している。
中盤以降もテンションは全く途切れない。「ちょっと疲れて動けへんヤツ、まとめてかかってこい！」と容赦なく“1sec.”へなだれ込み、そのまま“VIBES BY VIBES”へとつないでいく。
興奮のるつぼと化した状態でも、TAKUMAは言いたいことをズバッと伝える。ちょっと変なノリ方をしてる奴がいるからってネットでいちいち文句を言うな。お前らだって初めてライヴを見たときは同じようなもんだっただろ。今の時代はちょっと言い間違えただけでネットもテレビも吊るし上げる。正座して言いたいことを朗読すれば伝わるのか。そんなわけないだろ。要約するとそんな具合だ。TAKUMAらしい熱い言葉の数々に何度も同意の拍手が起こる。ライヴのリズムは少し崩れたが、意味のあるMCだった。
最後はちょっと時間が余ったからと追加で“蜃気楼”をプレイ。かつて、なんだか苦しそうに演奏をしているときがあった、何かを胸に抱えながら歌っているように見えるときもあった。だけど、今日の3人の表情や演奏には一点の曇りもなく、吐き出す言葉には何の含みも感じさせず、スクリーンに大写しになった屈託のない笑顔は本当に楽しそうで、そんな3人の姿は見る側の心に花を咲かせ、さいたまスーパーアリーナいっぱいに温かな輪が生まれていた。
名残惜しい気持ちがあったのだろう。ラストの“ヒトリセカイ”を終えた後、ステージ上で急遽3人はミーティングを開始。そして、3分余ってるからとショートチューン“DO YOU LIKE...?”をプレイ。さらに、1分余ってるからと“RIVER”のサビをほんのちょっとだけ演奏して本当の本当にフィニッシュ。2万4千人の期待にしっかり応え、さらにそれを上回るものを返した3人は、この舞台にふさわしいエンディングをビバラにもたらしたのだった。
セットリスト
1. 1 size FITS ALL
2. STONE COLD BREAK
3. Fin
4. RIVER
5. 夢の泥舟
6. 太陽4号
7. goes on
8. 1 sec.
9. VIBES BY VIBES
10. その向こうへ
11. 蜃気楼
12. ヒトリセカイ
13. DO YOU LIKE...?
14. 時間がないときのRIVER
撮影＝古溪一道 テキスト＝阿刀“DA”大志
